戦国大名の外交、その舞台裏
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
同盟の成立と破壊…北条・今川・武田三国同盟の構造とは
第2話へ進む
戦国時代の「外交の舞台裏」…意外と知らない大名と国衆の関係
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
丸島和洋(東京都市大学共通教育部 人文・社会科学系 教授)
戦国時代とは、主たる政権が不明確で、多数の戦国大名によって分裂した地域国家の時代である。そこにおいて重要だったのは、それぞれの戦国大名に服属していた国衆の存在である。この国衆の動向は戦国大名同士の「外交」にどのように影響を与えたのだろうか。(全8話中第1話)
時間:15分36秒
収録日:2019年6月13日
追加日:2020年1月21日
≪全文≫

●戦国時代とは何か


 東京都市大学の丸島と申します。普段は戦国大名、主に甲斐の武田氏を中心に研究しています。今回は、戦国大名同士の外交と、その特徴をについてお話しします。

 まず前段として、戦国時代、および戦国大名とはどのような存在かを簡単に説明させてください。戦国時代という時代名称は、少し変わっています。他の時代とは違う時代名のつけ方がなされているからです。

 奈良・平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸は、主たる政権の所在地を名称に採用した時代区分です。ところが、戦国時代は違います。「戦国」という言葉は、永正5(1508)年に左大臣近衛尚通が「現在のありさまは、まるで戦国時代のようだ」と日記に書いている他、武田信玄が制定した分国法「甲州法度之次第」にも、「天下戦国の上は」という条文で用いられました。

 前者は中国古代の春秋戦国時代になぞらえた表現ですが、武田信玄が書いた後者は、明確に「現在は戦いの世、乱世である」と言っています。そのため、この言葉をあえて時代呼称、あるいは公称として採用している事実からすると、戦国時代は「主たる政権の所在地」が不明確であるといえます。研究者の間でも、この点で合意を見ているといってよいでしょう。


●戦国大名を1つの国家と捉えてみる


 それでは、「主たる政権の所在」が不明確な戦国時代とはどういう時代なのでしょうか。私は、日本列島が、室町幕府という中央政権の存在を前提にしつつも、戦国大名という小国家群に一時的に分裂した時代と捉えています。こうした戦国大名の小国家を、近年「地域国家」と呼ぶ研究者もいます。一定範囲の地域を面的に領国化した国家という意味を込めた命名です。

 この戦国大名を「地域国家」と考える理由はいくつかありますが、ここでは3つの点に着目したいと思います。

 第一は、戦国大名が領国内における法律制定の最高主権者であるという点です。室町幕府をはじめとする従来の権力が定めた法律や公認した特権をどう扱うかは、戦国大名のさじ加減ひとつで決まるものでした。これは、現在の静岡県東部にあたる駿河の戦国大名であった今川義元が、分国法「仮名(かな)目録追加」において「ただいまはおしなべて、自分の力量をもって国の法度を申し付け、静謐することなれば」と高らかに謳っていることに象徴されます。このなかで今川義元は、「現在は、室町幕府将...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
「講義ページ」と「便利機能」の使い方(1)講義ページの便利な使い方
「講義ページ」の便利な使い方…講義テキストの出し方、各話への飛び方、再生速度
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(3)オデュッセウスの冒険譚
知恵の英雄・オデュッセウスの冒険譚…過酷な苦難と試練、誘惑と罠に満ちた10年の全貌
松村一男
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部