西郷南洲のリーダーシップ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
命も名誉も金も地位もいらぬ人でなければ難局打開は困難
西郷南洲のリーダーシップ(4)「始末に困る」人になれ
田口佳史(東洋思想研究家)
国家の一大事に立ち向かえるのは、命もいらず金銭や地位にも心動かされない「始末に困る」人だ。この西郷南洲(隆盛)のリーダー像の背後には、彼が若かりし頃に出会った、ある言葉の存在があった。老荘思想研究者・田口佳史氏が、引き続き『西郷南洲翁遺訓』を引きながら、西郷のリーダー像の根本部分を語る。(第4話目)
時間:9分14秒
収録日:2015年2月27日
追加日:2015年9月3日
≪全文≫

●天を相手にするには誠心誠意が必要


 第二十二番「己れに克つに、事々物々時に臨みて克つ様にては克ち得られぬなり。兼て気象を以て克居れよと也。」

 「己に克つ」、つまり「こうやろう」という誘いがあっても「それはよくないからやめておけ」と自分の欲望や強欲をぐっと制止する力も、「事々物々時に臨みて克つ様にては克ち得られぬなり」、つまり時々はできるということではいけないし、いつも「克てよ」「克己だ」と言い続けないとできないのも良くないということです。「兼て気象」の気象とは性格という意味ですが、そういう克己が性格になるぐらいに自分を鍛えないといけないということです。何気なくやっていても、それがきちんと克己にかなっているような自分をつくることが重要であると、西郷南洲は言っているわけです。

 その末、そういった心境になるためにはどうしたらいいのか。

 第二十五番「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己れを尽し人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし。」

 人とは移ろいやすく、先ほど褒めてくれたと思えば、今はもうそうではないと言う。人の心はくるくる変わるものだから、人を相手にするのはやめ、天を相手にする。天は全く変わらない。その天を相手にして、己を尽くすことしかない。しかし、人はそこまで見て取らないが、天は見て取る。だから天を相手にするとなったら、「我が誠の足らざるを尋ぬべし」、つまり誠心誠意で当たらなければ、天を相手にするとは言い難い、ということです。こういう文言が吐けるというのは、西郷南洲という人が一生懸命、天を相手に生きたということを意味しているのでしょう。


●始末の困る人でないと難局は乗り切れない


 最後に、今までお話ししたことを繰り返すことで、どういう人物になるかと言えば、こちらになります。

 第三十番「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也。この仕末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」

 脅しても命もいらず、名誉をあげるからと言っても駄目で、官位を授ける、お金をあげるからと言っても駄目という人は、もうどうしようもない。何をしようとも効果がない人だから、始末に困る。そのように始末に困る人でなければ、「艱難」、すなわち国家や会社の重大事に対し、一緒に励もうとか、何とか難局を乗り切ろう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
メソポタミア神話の基本を知る(1)メソポタミア神話の神々と人間との関係
メソポタミア神話は、ギリシア神話はじめ世界の神話の原点
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(4)日本人の仏教と先祖崇拝
実は日本人は「仏教」も「先祖崇拝」も真面目に考えなかった?
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
不便益システムデザインの魅力と可能性(2)不便がもたらす4つの益
写ルンです、おやつ300円まで…不便がもたらす益の数々
川上浩司
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之