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うつ病の診断をスマホのアプリから変革する!

うつ病対策と経営リスク(2)うつ病の「見える」化

渡部芳德
介護老人保健施設ひもろぎの園 創設者
概要・テキスト
ひもろぎGROUP理事長・東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏が開発したのが、うつ病の症状や薬の効果を定量化するための「アン‐サポ」という無料アプリだ。PHVの燃費競争アプリをヒントに開発されたこのツールを使えば、数十年来の「誤診」やうつ病の地域分布などが一目瞭然で分かるようになるという。(2015年10月15日開催 日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「企業でのうつ病休職者の社会復帰(リワークプログラムの実情)~ストレスチェック制度を有効活用した人材育成と企業経営~」より、全5話中2話目)
時間:07:54
収録日:2015/10/15
追加日:2016/01/21
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≪全文≫

●うつ病を「見える化」する


 精神科という職業は、皆さんに説明するのがすごく難しいのです。精神疾患というのは、目に見えず、概念しかないのです。うつの場合、症状が何項目あるかで「うつ」だと診断します。

 一方、身体疾患は分かりやすく、心筋梗塞でも、肺炎でも、写真をパシャッと撮ればすぐ出てくるから、皆さんでも病気だと明らかに分かります。画像を一目見れば分かるからです。

 これに対して精神科というのは非常に難しいです。うつと不安の二つの症状があるのですが、うつの人は不安も持っているし、不安障害の人はまたうつも持っており、両方の症状を持っているということです。これを定量化するにはどうしたらいいかということで、われわれは自己記入式スケールを使っています。これは「アン‐サポ」というアプリですが、定量化させるためのスケールとして、アンケートを毎日つけます。このアプリを携帯の中に入れて、毎日入力すると、そのときの気分が定量化できるというものです。今ではもう大体2万人ぐらいの携帯のデータを集めています。ビッグ・データになってきていますが、そのくらいのデータを蓄積しています。

 そうすると、どの薬でどういう風になったかの推移が見られます。こういうスケールをつくりました。英文論文にして、バリデーションが済んでおり、皆さんに無料で使っていただいています。


●うつ病と言われている60パーセントが実は躁うつ病だった


 実際このスケールを使って症状を見ると、例えばこの人は50歳の男性で、発症した時は22歳だったのです。当時もうつ病と言われて、最初の抗うつ剤は非常に効果があり、これは三環系抗うつ剤でした。今から28年ぐらい前に、初めてうつになったこの方は歯医者さんです。開業して20年もたっており、生真面目だから(病院は)すごく流行っているのです。

 でも、うちに来る前まで、反復性のうつ病と言われていたのですね。抗うつ剤を飲むと、そのあと効果がなくなって、別の抗うつ剤に変える。それも効くけれど、またすぐに効かなくなる。こういうことを繰り返していたのです。ある大学病院で、新薬のミルタザピンという薬にしたけれど、よくならない。そこで最後にうちに来たということでした。

 この方によく聞いてみると、大学受験の時はハイテンションになり、夜も寝ないで勉強するのが全く平気だったそうですが...
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