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日本に必要なのは減点方式から加点方式への転換

藤森義明のGE流経営論(4)日本のリーダー育成のために

藤森義明
株式会社LIXILグループ 元 取締役 代表執行役社長 兼 CEO /日本オラクル株式会社 取締役会長
概要・テキスト
リーダー育成に関して、アメリカ企業がやっていて、日本企業がやってこなかったことが二つある。一つは教育、もう一つは経験の機会だ。権限と責任を与えて、自らやり抜く実践経験なくして力は付かず、人は伸びない。任せる側にとってもリスクテイクであるアサインメントと、リーダー交代の時機について、株式会社LIXILグループ取締役代表執行役社長兼CEO・藤森義明氏が語る。(全4話中第4話目)
時間:11:20
収録日:2015/12/16
追加日:2016/04/04
≪全文≫

●人を育てたアメリカ、育てなかった日本


── 以前、興味深い話を聞きました。日本のメガバンクの人もアメリカのウォール街の人も、若い頃はほとんど能力差がないけれども、40歳を過ぎると天と地の差になっているというのです。藤森さんの話を聞いていると、それはやはり片方がトレーニングをしなかったからなのですね。

藤森 トレーニングと、あとはやはり経験だと思います。最初に言ったように、アメリカ人は若い世代が権限と責任をもって交渉をしに来る。同じ世代で、日本人は、一番隅に座っている。この違いですね。

── 経験を積まなかったら、40代後半になったときにはまるで違う人になっているわけですね。

藤森 ええ、ものすごく違う人になってしまうと思います。

── でも、もともと持っていた潜在能力が同じにもかかわらず、それはあまりにもったいないですね。

藤森 その通りだと思います。ジャック・ウェルチ(GE前CEO)の言葉で大好きなものが一つあります。われわれは、誰もが素晴らしい無限の潜在能力を持っている。しかし、その潜在能力を出せるか出せないかを決めるのは、その無限の潜在能力をどこまで試させてくれるかという会社の仕組みと、それを抑えてしまう自分と会社の仕組みの二つに分かれる。それによって、人の潜在能力は年代を経るにつれて大きく変わってくる、というものです。

── ジャック・ウェルチは偉大ですね。

藤森 はい、偉大な経営者だと思います。

── GEが危機感を持った途端に現れ、GEをグローバル企業に変えた人なのですね。

藤森 彼はグローバル企業の先陣を切ったリーダーだと思います。しかし、クロトンビル(リーダーシップ研究所)がつくられたのは1950年代半ば(1956年)で、その時の5代目CEO(ラルフ・コーディナー)が世界の流れを一番感じたのではないでしょうか。1950年代は、戦争が終わって世界経済が動き始めた頃です。その世界経済の動きについていきリードするためには教育が必要で、しかも大々的に教育しなくてはならないということで、(クロトンビルを)つくったのが1950年代で当時の5代目CEOなのです。ですから、その彼もやはりすごかったと私は思います。

── すごいですね、1950年代。アメリカしかなかったような時代ですよね。

藤森 ええ。ですが、その頃は、日本でもすごい会社が生ま...
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