松下幸之助の経営理念
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学校では学べない船場商人の思想を9歳で学ぶ
松下幸之助の経営理念(3)原点は船場の丁稚奉公
経営ビジネス
佐野尚見(元松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)代表取締役副社長)
松下幸之助が生涯経営に向かった原点は、大阪船場での丁稚奉公にある、と公益財団法人松下政経塾理事長・佐野尚見氏は言う。貧乏な家に生まれ、体力も弱く、教育さえ満足に受けられなかった幸之助を支えたパワーはどこにあったのか。佐野氏とともに「経営の神様」の原点をたずねてみよう。(2016年2月18日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー佐野尚見氏講演「松下幸之助の経営理念」より、全6話中第3話)
時間:9分03秒
収録日:2016年2月18日
追加日:2016年6月9日
≪全文≫

●幸之助の原点は9歳から15歳までの丁稚奉公


 前回は、松下幸之助創業者の経営に対する考え方をお話ししました。では、その原点はどこにあるのでしょうか。

 その一部は、間違いなく9歳から15歳まで船場での丁稚奉公にあると思います。松下家は、「松の木の下に家があったから、松下さん」と言われたようで、比較的裕福な家でした。ところが、父親が米相場に手を出して大失敗をしてしまい、たくさんの借金を抱えたために、結局、家族がばらばらになります。幸之助創業者は、尋常小学校4年の卒業を待たず、9歳で丁稚奉公に出されます。


 丁稚奉公というのは、ご存じの通り、子守りや使い走りをしながら住み込みで働き、実体験で商売を覚えていきます。初めてもらった給料は5銭です。90歳になってそれを振り返り、「今までで一番うれしかったことは、初めての給料5銭をいただいたとき」で、それまでは毎日母親が恋しくてメソメソ泣いていたけれど、給料をもらってからは泣くことをやめたと言っています。


●五代自転車店での経験が企業家としての出発点


 最初の奉公先は、「宮田火鉢店」という火鉢屋さんでしたが、2、3カ月で「五代自転車店」に移りましたので、ここが企業家としてのスタート地点と言ってよいと思います。当時の輸入自転車といえば最先端のものですから、今で言うベンチャーのようなものでした。店主の五代さんは非常に立派な人で、商売や礼儀、その他細かいことまで教えていただいたと幸之助創業者は語っています。

 この頃の幸之助創業者を表す詳細なエピソードが、一つ残っています。当時、商売をしていると、お客さまから「煙草を買うてこい」と言いつけられることが多く、その都度走って買いに行った。しかし、20個買うと1個おまけがつくという話を聞いて、買い置きを思いついた。1カ月あたり5、60箱は言いつけられるので、20銭から30銭の利益が出ました。当時の給料は1円でしたから、かなりの小遣いを稼いでご機嫌だったようです。

 結局、親方から「周りの者がうるさいからやめておきなさい」と注意されたようですが、後年、「皆に分けてあげればよかったな」と言っていました。

 ここで学校では学べない体験を数々経験し、特にお金の大切さを知りました。私が入社した時も、ご本人から「資金」についてはずいぶんやかましく言われたものです。

 さ...

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