松下幸之助の経営理念
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企業の起死回生を果たしたトップによる経営キーワード集
松下幸之助の経営理念(5)四つの「ジンザイ」で人を見る
佐野尚見(元松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)代表取締役副社長)
公益財団法人松下政経塾理事長・佐野尚見氏が、PAS社社員に折にふれ話した言葉の数々を紹介する。松下幸之助の言葉、そして自らの経験を通して学んだことの数々は、経営者にとっても、また現場で働く社員にとっても、見逃せないキーワードに満ちている。(2016年2月18日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー佐野尚見氏講演「松下幸之助の経営理念」より、全6話中第5話)
時間:10分49秒
収録日:2016年2月18日
追加日:2016年6月16日
≪全文≫

●折にふれて社員に話したこと-素直であれ


 最後に、オートモーティブの仕事をしながら社員の皆さんに話した内容を、簡単にご紹介したいと思います。

 最初に「素直」ということですね。素直になれば、物事の実相が見えてくる。松下幸之助創業者も、実は生涯にわたって、この素直という言葉と一番たくさん向き合っていたのではないか、と思います。たくさん揮毫しているのですが、この素直という言葉を一番多く書いています。ですから、恐らくお亡くなりになるまで、常に素直でありたいと思っていたのではないかと思います。


●価値観を共有する


 次に、「価値観の共有」です。これは、事業をやっていくうえで非常に重要で、皆さんももう十分ご存知と思いますが、人生観は違っても、仕事の価値観は共有できるのだということです。全ての価値観の共有はできないけれど、仕事の価値観は共有できる、というのが私の思いでありまして、各部門の皆さん方に、自分の組織の存在意義、目標、判断の基準を3行ずつ書いてもらいました。このようなことを皆でディスカッションをしたりしたのです。


●組織は人間の集合体である


 次は「組織」です。私は組織をつくったり壊したりしましたけれども、結局、組織というものはつくったその日から実は硬直化が始まる、あるいは、肥大化が始まる。ですから、組織の可塑性というか制度疲労は必ず起きるのです。ですから、組織は変化するためにある。しかし、組織は人間の集合体である。人事部長が作る職制表は縦軸と横軸だけですが、実は3次元かもしれないのです。

 そして、「情報」です。ずいぶん情報システムを入れました。あるべき組織を作って、情報システムを導入してIT武装しても、そこで働く人々、特にリーダーが古いパラダイムのままだと、逆に変革期よりもかたくなな組織となって、状況は悪化します。これは実は、私はヨーロッパで大失敗をしまして、そのときの思いです。


●風土は知財に優るブラックボックスだ


 次に「風土」、風土改革です。風土というのは、文字通り「風」と「土」であって、変わっていくのに気がつかないわけです。その風土の変化とは、よくも悪くもやってきますし、よい風土は漢方薬のようなものだし、悪い風土は、虫歯のように気がつかないうちに抜かなければならない、というものなのです。それから、なぜ風土を大切にしなければい...

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