●トランプ発言は「自主防衛」の問題を突き付けた
トランプ氏の「公約」が実現することで生じる、もう一つとても大きな課題は、日米安保の見直しです。トランプ氏は、「米軍が日本に駐留して日本を守ってやっているから、全駐留費を払えとして、それをやらないなら撤退する」と言っています。
また、選挙戦でこうも言っていました。「ドイツは払っていない、日本も払っていない、韓国も払っていない、サウジアラビアも払っていない。この四カ国はただ乗りをしている。だから全額払え。払わなければ、米軍は撤退する」と。
別の場所では、「米軍が撤退したら、自分で自分の国を守らなければいけないから、必要なら核兵器を持てばいいではないか」とも言っていました。今までアメリカは、核の傘を日本にかけてくれていました。だから、北朝鮮のような危険な国があっても、アメリカが抑止力になることで、日本は安心できました。しかし、日本がアメリカにお金を払わず、自分で防衛するということなら、「核を使ってもいいだろう」ということです。しかし、さすがにトランプ氏も、この発言は後に取り消したようです。
●日本から米軍が撤退したら自主防衛しなくてはいけない
米軍が撤退したら、日本は自主防衛しなくてはいけないということですが、ではなぜ、日米安保は過去60年も続いたのか。それは(日本が)自主防衛できないからです。この点を皆さんと考えたいのですが、現代は核時代で、世界の主要国は全て核を持っています。お隣の北朝鮮も持っています。さらに言えば、核ミサイル時代です。
核ミサイル時代に日本列島を守るにはどうしたらいいか。地図を思い浮かべながら考えてもらいたいのですが、日本はバナナのように細長くなっている国です。発展途上国ではありませんから、高度に産業資源が集積しています。人口も集積して、情報化もものすごく進んでいます。その中枢が、いくつかあります。その中枢で核が炸裂するとどうなるか。人間だったら、脳や心臓を撃ち抜かれたような感じです。一瞬にして死にます。2~3発の核爆弾で、日本は機能停止となります。
●米軍と組むことで機能する核抑止力
こういう国を守るにはどうしたらいいか。例えば、危険なことをやりそうな国に対して、「発射してみろ」と言った後、発射したとします。そのことが分かった瞬間に、日本側からものすごく高速のミサイ...