東大ハチ公物語―人と犬の関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
人と動物のアンバランスな関係を哲学的に考える
東大ハチ公物語―人と犬の関係(3)退廃モデルと補償モデル
一ノ瀬正樹(東京大学名誉教授/武蔵野大学ウェルビーイング学部教授)
東京大学大学院人文社会系研究科教授・一ノ瀬正樹氏が人と動物の関係を哲学的に考察する。一ノ瀬氏は、その関係を語る第1のモデル「退廃モデル」の傾聴すべき点、問題点を挙げつつ、原理的検討と現実的対応の間にはずれがあることを指摘する。そのずれを認識し、現実の中での最善を目指すというのが第2のモデル「補償モデル」だ。(全5話中第3話)
時間:17分46秒
収録日:2017年4月4日
追加日:2017年6月15日
≪全文≫

●人間と動物の歪み-殺処分、ブリーディングによる虚弱化


 「退廃モデル」に対する補足ですけれども、動物に対する私たち人間のアンバランスで歪んだ態度を省みるとき、「退廃モデル」には傾聴に値するものがあると思うわけです。前回お話しした保健所で殺処分される多くの動物、これはやはり人間と動物との関係の歪みを表しているのではないかと思います。

 それからブリーディングによる虚弱化です。犬はもはや人間なしでは生きていけないわけです。猫の場合は、上野公園などに行ってみると放し飼いというか野良猫がいて、それに餌をやるような方もいて、生き延びています。ただ、野良猫の場合は大変に寿命が短いのですが。いずれにせよ、猫はなんとか生きているわけですが、野良犬となると、まず危険なので大抵は捕獲されてしまいますし、本当に野良犬として生きるということは今はほとんどできません。小型犬をその辺の野原に放して生き延びることができるかといったら、まずもう無理ですね。虚弱になってしまっているわけです。

 ディズニー映画などでも有名なダルメシアンというブチの犬がいますが、あれもブリーディングをしてずっと純血を保っている故に非常に虚弱になってしまって、皮膚病や骨の病気などが非常に頻発するようになっていると言われています。柴犬などもそうです。ブリーディングをすると血が濃くなってしまう率が高いので、虚弱化してしまうのです。

 これは人間の場合も同じですね。血が近い人同士、日本の民法だと三親等以内の結婚は法律でできないわけです。おじさんと姪は結婚できません。いとこ同士はできますが、あまりいとこ同士で結婚はしません。血が近いというのは生物的に難しいところがあるわけです。


●害獣駆除、動物実験も人間と動物の関係の歪みの現れ


 また、害獣の駆除も、人間と動物の歪み、コンフリクトですね。狂牛病や鳥インフルエンザ、それからこの間の新聞に載っていましたが、青森県などでは鹿害がひどいので全県を挙げて鹿を全滅させる、全駆除をしてしまうという方針を固めたということが報道されていました。これも人と動物が一緒に共同して生活するのがとても難しいということの例ですね。これは人間の動物に対する態度のアンバランスさを1つ示しています。一方では犬や猫を擬人化して人間の家族と同様に扱っているのに、鹿が農作物を食い荒らすということ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将