道徳と多様性~道徳のメカニズム
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
動物の「道徳的な行動」と人間の「道徳」の違いとは
道徳と多様性~道徳のメカニズム(4)道徳は動物にもあるのか?
鄭雄一(東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻教授)
道徳の基本原理が分かったところで、応用問題に入りたい。東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻教授・鄭雄一氏は、まず「道徳は動物にもあるのか?」を検証する。ほほえましい親子の情愛を見せる動物たちは、「思いやり」深いのか。それとも? 「道徳と多様性」を科学の眼差しで捉えていく連続講義は、いよいよ佳境へ。(全6話中第4話)
時間:9分58秒
収録日:2016年10月7日
追加日:2017年1月26日
≪全文≫

●動物たちの子育ては、残酷さと隣り合わせ


 四番目に、「道徳は動物にもあるのか」ということです。ここまでは人間のことばかりを言ってきましたが、動物と比較するとどうなのでしょう。

 テレビ番組を見ると、「動物は道徳的な行動をする」といった映像が山ほど出てきます。すぐに思い付く例は、例えば子育てです。動物によっては、親類までが子育てを手伝います。兄が弟の世話をしたり、おじさんがおいやめいの世話をしたりします。こういう場面をパッと見ると「わ。すごい思いやりだな」と思うわけです。

 ただし、この協力・分業の範囲は血縁(遺伝的に近縁な個体)に限定されています。血縁外の関係では思いやりとは程遠い残酷さが待っています。例えばペンギンは、親のいない子がすぐ隣で野垂れ死にしそうでも何もしてやりません。餌を求めてきても、もちろん追い払います。

 レンカクでは、お父さんが子育てをします。お父さんが子どもを脇に抱えて動き回る姿は、とてもかわいいものです。でも、その間、お母さんは何をしているかというと、ほかの子どもを殺しに行っています。子どもが死ぬと、別のお父さんが交尾してくれて、自分の卵を産めます。だから、殺して回っているのです。

 要するに、道徳の適用範囲は血縁だけなのです。もちろんこういう人は人間にもいますが、人間社会では絶対に尊敬されないと思います。人の道徳の及ぶ範囲は、遺伝的に離れた個体、要するに赤の他人も含んでいるのです。


●動物の「道徳的」行動と人間の「道徳」の違い


 動物の子育てをいくら褒め称えても、それは人間の道徳と同じとは言えません。子どもを慈しむのはいろいろな動物にとって当たり前の行動です。人間よりも慈しんでいるように見える動物も、いっぱいいます。しかし、それが人間と同じかというと、全然違うのです。

 「より大規模で複雑な協力・分業行動はどうですか?」と問う人がいるとします。例えばライオンやオオカミが群れでする狩りはかなり大きいですし、50~60頭で構成されるチンパンジーやゴリラの群れには、赤の他人も入っています。協力・分業する範囲に、直接面識のある血縁外の個体も入ってくるということです。言い換えれば、道徳の適用範囲が、血縁と直接の知り合いに及ぶことになります。では、これは人間と同じでしょうか。

 人間の道徳の及ぶ範囲をよく見てみると、そこには...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏