ユリウス・クラウディウス朝~ローマ史講座Ⅵ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ついには母親殺しまで…暴君ネロのあえない最期
ユリウス・クラウディウス朝~ローマ史講座Ⅵ(4)ネロ(下)
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
16歳で皇位に就いたネロは、30歳で自殺に追い込まれる。15年足らずの治世で、「暴君」の名を決定的にした彼の後半生には何があったのか。早稲田大学国際教養学部特任教授の本村凌二氏にご案内いただく。(全6話中第6話)
時間:8分06秒
収録日:2017年8月7日
追加日:2017年9月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●家庭教師も母親をも殺害したネロ


 もともとは民衆たちに慕われていたネロは、ローマ大火以降、彼らの多くから反感を買うようになります。軍隊や元老院貴族は、彼の暴君的な態度が募ることに強く反発していきます。

 その間のネロの行状を見ていくと、目を覆うものがあります。例えばセネカですが、おそらくは目障りになったのでしょう。ネロは疎ましくなった彼を追放し、その後「自分に対する陰謀に加担した」との理由を捏造します。自分の周りから遠ざけていればそれでいいものを、それ以上に嫌になってきたのでしょうか。これにより、セネカは自殺に追い込まれるのです。

 さらにネロは、なんと自分の母親のアグリッピナをも殺してしまいます。アグリッピナはいろいろなことに介入してきていたのですが、直接殺したりするわけにはいきませんから、その殺し方については大変手が込んでいました。

 親子がともにナポリ近郊に滞在していた頃、ネロは母親を自分の別荘に呼び、宴会を催して、丁重にもてなします。そして、母親を湖の向こう側へ船で帰すわけですが、その船は沈没するように仕組まれていました。実際、アグリッピナが出航すると、どこかから水が漏り、船はどんどん沈んでいきました。

 ところが、幸か不幸か、彼女は非常に泳ぎがうまかったために、岸辺にたどり着いてしまいます。すると、そういうこともありなんというわけで、岸辺にはネロの手下たちが待ち構えていました。たどり着いたアグリッピナは、彼らに殺されてしまいます。ネロとしてはもっとうまくやりたかったのでしょうが、現実には自分の手下が刃を下す形で、母親を死に至らしめるのです。


●「反ネロ」の叫びのもと、あえなく最期


 その後、ローマ市中は「ネロは母親殺しだ」という落書きでいっぱいになります。母親まで殺してしまうような人物だということが分かり、ネロの人気は急落します。それは元老院貴族だけではなく、民衆やローマの軍隊からもです。最終的には、ローマ近郊の軍隊が反旗を翻したことが大きな原因となり、ネロは自害に追い込まれていきます。

 ただし、反乱を起こしたのはローマ軍の一部です。広い意味での軍隊では決してそうではなかっただろうというのが、われわれ歴史家の見方です。ネロがもう少し冷静にその動きを見て、他のローマ軍の動きも察知していれば、ある種、打つ手はあったのではないかと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
信長軍団の戦い方(1)母衣衆と織田信長の残忍性
織田信長を支えた母衣衆に見る戦国のダンディズム
中村彰彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(5)ゴールドや暗号通貨への評価
ゴールドやビットコインへの評価は?…現代社会の写し鏡
養田功一郎
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
新撰組と幕末日本の「真実」(5)主要隊士、そして羽織や旗の実像
沖田総司、山南敬助、永倉新八、斎藤一…彼らの実像とは?
堀口茉純
インフレの行方…歴史から将来を予測する(4)10年後の物価…5つのシナリオ
5つのシナリオ分析…10年後の日本の物価水準はどうなる?
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博