ユリウス・クラウディウス朝~ローマ史講座Ⅵ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ローマ皇帝ネロを「暴君」にした元老院貴族とキリスト教徒
ユリウス・クラウディウス朝~ローマ史講座Ⅵ(4)ネロ(中)
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ネロが暴君になっていく道筋は、元老院から始まったと早稲田大学国際教養学部特任教授の本村凌二氏は言う。派手な振る舞いによる財政のマイナスを貴族の追放や処刑による財産没収で補ったからである。しかし、もちろんそれだけでは済まない。民衆にも反感を募らせたネロの行為とは?(全6話中第5話)
時間:11分08秒
収録日:2017年8月7日
追加日:2017年9月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●元老院貴族への加害と軽視が「暴君ネロ」の始まり


 暴君と言われる割に、民衆には人気が高かったネロ。では、誰が彼をそんな悪人にしたかというと、これは元老院貴族です。

 カリグラの段でも話しましたが、皇帝の振る舞いが派手であればあるほど、国家は財政難に陥ります。その財政再建のための常套手段として使われたのが、元老院貴族を追放したり処刑したりして、財産を没収することで、そのようなことがしばしば行われていました。

 また、そうした被害には遭わなくても、ローマの建前はあくまでも共和制国家です。皇帝に当たる人を「プリンケプス(第一人者)」として認めてはいるものの、必ずしも「レックス(キング、王)」とはしていないのです。あくまでもローマ市民の筆頭である第一人者として認められているのです。ですから、共和制国家の伝統を守り、元老院の意向を大事にすることが、当時の基本にはありました。

 にもかかわらず元老院貴族への弾圧を行い、彼らの意向を重視せずに民衆の喜ぶようなことばかりを続けていたために、貴族たちからネロへの反感が募っていったのです。


●悪貨鋳造でインフレ進行、民衆の反感が募る


 その後、財政難などはあったでしょうが、ネロ自身が軍隊をないがしろにすることはなかったと私は見ています。

 ローマ史を大きな流れで見ていくと、最初の皇帝であったアウグストゥスや五賢帝の時代(96~180年)に、元老院の意向が大事にされていたことは変わりません。ただ、皇帝権力の実質的な基盤はやはり軍隊にあります。そのことはネロもよく分かっていました。

 彼が元老院を大切にしなかったということは、つまり逆に軍隊に重きを置いていたということだと思われます。ただ、どういうわけか、ネロに対する元老院貴族の反感が軍隊に飛び火した面があり、軍隊の一部にはネロに対する反感を持つ向きが出てきます。とはいえ、軍隊全体が「反ネロ」の意識を持っていたわけではないと思います。

 そのような中、ネロのピンチは最初、「貨幣の品質低下」という国家財政上の出来事として現れました。財政難の折、元老院貴族の財産を没収したことはお話ししましたが、もう一つの策として、貨幣の改鋳を行ったのです。100の貨幣を集めてきて銀などの含有量を低くして改鋳し、120なり130なりにしていったということです。

 しかし、民衆はそこを見抜いてい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史