ユリウス・クラウディウス朝~ローマ史講座Ⅵ
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優秀なゲルマニクスの息子、3代ローマ皇帝カリグラの残忍
ユリウス・クラウディウス朝~ローマ史講座Ⅵ(2)カリグラ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
早稲田大学国際教養学部特任教授の本村凌二氏が、ローマ帝国初期ユリウス・クラウディウス家の5人の皇帝を中心に古代ローマ史を解説。ティベリウスの没後、3代皇帝に就いたのは理想的為政者として人望も厚かったゲルマニクスの末の息子カリグラだった。陰険で地味な印象のティベリウスとは異なり、就任当初民衆から人気を得たカリグラだったが、その人気は長く続かなかった。(全6話中第2話)
時間:12分28秒
収録日:2017年8月7日
追加日:2017年9月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●ティベリウスの後継者・ゲルマニクスの不可解な死


 おそらくアウグストゥスの指示によるものだと思いますが、ティベリウスが亡くなった後、ゲルマニクスが継ぐようにという指令の下にティベリウスが皇帝になり、その後継者としてゲルマニクスが指名されるのです。しかし、ティベリウスが皇帝になった紀元14年から5年後、ゲルマニクスは亡くなってしまいます。

 非常に不可解な形で亡くなってしまったため、国民的な人気を博していたゲルマニクスですから、その死への疑いが皇帝であるティベリウスにかかりました。ティベリウスにとって、絶大な人気があったゲルマニクスはある意味で邪魔な存在だったのです。そのため、ゲルマニクスが暗殺されたのではないか、毒殺されたのではないかという疑いが強く国民の間で広まりました。今の歴史学では、おそらくそうではないだろうといわれていますが、当時はそういううわさがずっと駆け巡っていたのです。


●抹殺されていくゲルマニクスの息子たち


 そうすると、ティベリウスにすれば面白くありません。実際にゲルマニクスの子どもたちは、何人もおりますけれども特に男の子はやがて処刑されたりして殺されてしまいます。これはある意味濡れ衣だと思いますが、ティベリウスに対する陰謀を起こしているということで殺されてしまうことになるのです。

 しかし、こうした処刑や暗殺にティベリウス自身が直接手を下したということはおそらくないのではないかと思います。というのは、その頃、ティベリウスはすでにカプリ島に隠棲していたからです。むしろローマにいて自分たちの後継者を擁立しようとしていた者たちが、ゲルマニクス系の人々のことを非常に邪魔でしょうがないと考えてのことでしょう。ゲルマニクスには男の子が5人もいました。昔ですから若くして亡くなってしまうのはありふれたことですが、少なくともゲルマニクスが亡くなった時点では、男の子は3人ほど残っており、そのうち上の2人がやがて暗殺、あるいは処刑されてしまうことになるのです。


●民衆の期待を背にゲルマニクスの息子ガイウスが3代皇帝へ

 
 その中で一番幼かったガイウスだけが、まだ幼いからということでそのまま残されました。最初ほんの幼児だったガイウスですが、やがて少年となると、その少年時代にも母親あるいは兄もいろいろな疑いをかけられて処刑されてしまいます。ですから、...

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