ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「共和政」という建前を保持したオクタウィアヌス
第2話へ進む
オクタウィアヌス、アントニウスと女王クレオパトラ
ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ(1)オクタウィアヌスとアントニウス
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏による古代ローマ史連続講義。500年の長きにわたって共和政を維持してきた古代ローマは、カエサルを境にいよいよ「1人の支配者」の時代へと動き出す。2回の三頭体制を経て、ローマの実権がついにオクタウィアヌスの手に握られるまでを追う。(全8話中第1話)
時間:16分40秒
収録日:2017年6月16日
追加日:2017年7月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●500年間の共和政から三頭政治へ-カエサルの台頭


 紀元前1世紀にガイウス・ユリウス・カエサルが登場したことは、ローマ史だけではなく世界史の中でも、非常に大きな転換といっていい事件ではないかと思います。ローマは500年にわたって共和政を続けてきました。共和政というのは平たくいうと、独裁制を嫌う、1人の人に支配を委ねるのを非常に毛嫌いしたということです。そういうことを、ローマは500年にわたって、曲がりなりにも続けてきたわけです。

 それが、領土が非常に大きくなり過ぎたこともあり、数百人の元老院の人たちを中心としたそれまでの共和政国家の体制では、対処できない事態になっていたのです。広い領土を管理しながら、さまざまな事件に対しては即座に判断しなければいけないことがたくさん出てきたということです。

 結局、紀元前1世紀の半ば、60年頃に、クラッススとポンペイウスとカエサルが現れ、3人の間で第1回三頭政治という密約が交わされました。その中でカエサルが主導権を握り、単独の支配者になっていったのです。彼もローマ人のことは分かっていましたから、そんなに簡単に「自分が絶対的な権力者だ」ということを見せないようにしていたでしょう。

 その後、カエサルは紀元前44年に終身独裁官になります。独裁官のことを「ディクタトール」といいますけれども、このディクタトールとは、ローマの国政の中で、非常事態に限って唯一の人に実権を委ねることを認める制度です。戦争が非常に長引いたり、膠着したりするようなときに、半年に限って、その権限が与えられました。これまで何人もの人たちが非常事態のときにその権限をもらいましたけれども、カエサルは、それを終身にわたってもらうということになったわけです。「なった」といいましたが、それは「そうなるように仕向けた」のかどうかは定かではありません。しかし、周りには特に共和政を信望する人たちがいたため、そのことが彼に対する決定的な反感につながっていきました。

 紀元前44年3月15日、元老院議事堂に出掛けていったカエサルは、そこで暗殺されてしまいます。もちろん彼にはボディーガード、あるいはそういった役割の人もいたのでしょう。しかし、彼自身、非常に無防備なところがあったので、結局、暗殺されてしまったのです。


●アントニウスが首尾よく反カエサル派を糾弾


 カエサルを殺した人たちは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留