ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
遺書「神皇アウグストゥス業績録」に記された内容とは?
ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ(3)権力より権威を重視したローマ人
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏が、古代ローマ歴代の支配者に焦点を当てて解説していく。第3話ではオクタウィアヌスが書いた、後に『神皇アウグストゥス業績録』と呼ばれる長大な遺書の内容を取り上げる。彼はその中で「もし私が他の人より優れているとすれば」と自身のことを語っている。彼がローマ市民に最も訴えたかったのは、「権威」の重要性だった。(全8話中第3話)
時間:14分06秒
収録日:2017年6月16日
追加日:2017年8月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●自らの業績、心情を碑文として綴ったオクタウィアヌス


 オクタウィアヌスは亡くなる時に、“Res gestae divi Augusti”、邦題で『神皇アウグストゥス業績録』という長大な遺書を残しています。自分がどんなにローマ市民のために尽くしてきたか、そして、ローマ市民を防衛するためにいかに戦ってきたか、ということをとうとうと書いて、それをローマ帝国の各地に設置させました。その断片が各地に散らばって残っているのですが、最初はラテン語で書かれており、それをギリシャ語に訳したものもあるのです。

 というのは、ローマ帝国は地中海全体を収めた時に、そこに住む人たちの主な公用語としては、地中海の西側がラテン語、東側になるとギリシャ語が使われていました。また、これは公用語といっていいかどうかはとにかく、セム系の言語も必要でした。それがアラム語です。東の方では、現在でもそうですが、シリアとかエジプトといった地域ではアラビア語が使われており、そこの人たちには、その元の言語としてのセム系の言語、当時はアラム語といわれていたわけですが、それを使っていたのです。いずれにしても、ラテン語、ギリシャ語が主な公用語で、ラテン語の碑文をギリシャ語に訳したものが、例えばトルコのアンカラの近くでも出てきたりしています。

 そういうものがたくさん、いろいろな所に残っていて、それを比較、照合して、現在、“Res gestae divi Augusti”は、ほぼ復元できているのです。碑文としては全36章で、行数としては500~600行くらいあると思いますが、非常に長大なものが刻まれていました。

 ローマに有名なアラ・パキス(平和の祭壇)と呼ばれるものが、テベレ川の近く、いわゆるスペイン広場の近くですが、そこにあります。さかのぼれば、ローマでは内乱が100年近く続いていました。その間、グラックス兄弟の改革に続き、マリウスやスッラ、ポンペイウス、カエサル、そしてアントニウス、オクタウィアヌスが登場してくるのですが、その内乱を、最終的に収拾したのは自分、つまりアウグストゥスであるということで、1人の為政者が、自分の言葉で自分の業績や気持ちを記録として残しているという意味では、世界史の中でもまれなものです。その長大なレプリカが今、献呈した祭壇のちょうど下の土台の所にあるので、ローマに行くと見ることができます。


●自分は権力者ではないと民衆に示し続けた...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
中島さち子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨