ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの人柄と有能な側近
ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ(4)側近アグリッパとマエケナス
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマ帝国の実権を実質的に握ったアウグストゥスは、文武両面で有能な側近にも恵まれていた。そうした側近たちがついてきたのは、アウグストゥスという人物のある特徴ゆえだ、と早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏は言う。(全8話中第4話)
時間:8分38秒
収録日:2017年6月16日
追加日:2017年8月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●公私の使い分けがうまかったアウグストゥス


 アウグストゥスは、30代になった頃から実権を握ります。アウグストゥスは、いわゆる建前上の発言として、あくまでも自分は権力において他の人と同じだと言ってきましたが、実際に実権を握っていたのは彼でした。

 アウグストゥスという人物が非常に面白いのは、公私の使い分けが非常にうまいということです。彼は、公人としての立場と私人としての立場をわきまえているのです。公人としては、ある種実利的で、徹底的に合理的であり、ある意味では非常に厳しく、あるいは冷静で、場合によっては非常に冷たいところがありました。一方、私人としては、非常に温情があり、周りにそれほど波風を立てないところがあります。


●2人の優れた側近がアウグストゥスを支える


 だから、彼には側近に有能な人物が就くわけです。その1人が、先ほどから話に出てきているアグリッパです。彼は、軍事面においてアウグストゥスを補佐します。もう1人は、文政面、民政面におけるマエケナスという人物です。ローマの身分制には、元老院身分とその下に騎士身分があるのですが、この人は、何度要請されても「自分は騎士身分のままでいい」と言って、元老院身分には就きませんでした。

 マエケナスには、そうしたある意味で奥ゆかしい一面がありました。一方で彼は、周りに詩人や文人たちを集めていました。例えば、アウグストゥスの時代にはウェルギリウスという大詩人がいたのですが、彼の著作には国民的な詩となった『アエネーイス』があります。これは建国叙事詩といって、アエネアースという人物がトロイアから落ち延びてきてローマ建国の祖となったのですが、500年ほど後にその血筋の中からロムルスとレムスの双子の兄弟が生まれるという話です。こうした建国叙事詩に対して、抒情詩的な面で活躍したのがホラティウスといった人物でした。マエケナスはこうした詩人、文人たちを自分の周りに集めていたのです。

 やっと安定したローマ国家がこれから世界に名だたる帝国として、自分たちの威容を知らしめるためには、ローマ国家をたたえるようなさまざまな詩が必要と考えました。それには広報担当といっていいほどのそういった詩人、文人たちが必要だということで、ヴェルギリウスやホラティウスらを周りに集め、彼らに対して、非常に多くの財政的援助をするわけです。

 現在、文化...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
武士は「お手本がない時代」だからこそ生まれた…武士誕生の真実と大唐帝国の解体
関幸彦
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠