ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
カエサルが「企画」アウグストゥスが「実現」した改革
ローマ帝国皇帝物語~ローマ史講座Ⅴ(6)国家システムの完成から譲位へ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
「パクス・ロマーナ」は、カエサルが企画し、アウグストゥスが実現したといわれる。自分は「権威」はあるが「権力」は持たないと宣言し続けた初代皇帝は、国家システムの完成に生涯を費やす。アウグストゥスからティベリウスへ。その裏で動いた二人の女性たちの肖像とともに、早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏に案内してもらおう。(全8話中第6話)
時間:12分11秒
収録日:2017年6月16日
追加日:2017年8月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●カエサルが絵を描き、オクタヴィアヌスが実現させた


 アウグストゥスはさまざまな改革を行っていますが、彼がアウグストゥスの位に就いたのが紀元前27年ですから、実に41年間「第一人者」として皇帝の位にあり、その中で改革を進めていったのです。

 一つは、ローマ市街の整備です。彼自身の言葉でいえば、「私は、レンガで造られた街を受け継いで、そして、大理石の街に変えた」となりますが、実際にそれが過言でないぐらい、さまざまな荘厳たる建物を建築しました。

 もちろん実際にはカエサルの時代からそうした「企画」はあり、アウグストゥスがその「実現」のフェーズにいたということはあります。

 カエサルは、ローマの街の改造もそうですが、元老院議員のあり方に関する改革案など、非常に大きなビジョンを持っていました。また、強大な権力を握りもしましたが、本当に実権を握っていた期間は5年しかありません。5年というと、現代の日本でいえば小泉内閣の時代ほどの長さです。もしも暗殺されなければ、もっと自分自身でいろいろなことができたでしょうが、彼にはその時間がありませんでした。

 カエサルの持っていたプランを実現していったのがオクタウィアヌスでした。オクタウィアヌスがそういう器であるとカエサルがみなしていた点も、うまくバトンタッチができた要因ではないかと思います。


●アウグストゥスの権威はローマ市民全体を束ねるもの


 このようにして、表向きは共和政と元老院を尊重し、実際にはローマ皇帝の位を確立して地中海全体を治めるような国家システムが出来上がっていきます。

 それでも、トップに立つ人間はあくまでも「独裁者(デスポティックな人間)」ではないということを、彼は表立って強調しています。そして、自分は権威において優れているのだということをローマ市民に分からせるために、前半で申し上げた『Res gestae divi Augusti(神皇アウグストゥス業績録)』を起草しています。

 この碑文は非常に珍しいものですが、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『暗殺の森』という1970年の映画作品の中のシーンにも使われています。主人公が『Res gestae divi Augusti』の前をすたすた歩いていくシーンで、背景にラテン語の碑文が長々と連なるわけです。この時、映画評論家たちは「あれは一体どこだ?」と騒いだけれども分かりませんでした。しかし、われわれ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子