ローマ帝国への道~ローマ史講座Ⅲ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
クラッスス・ポンペイウス・カエサルによる第1回三頭政治
第2話へ進む
地中海世界の覇者「ローマ帝国」はいつ始まったのか
ローマ帝国への道~ローマ史講座Ⅲ(1)勝者ゆえの悲劇から対立へ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマ史を専門とする早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏は、1200年の長大さを誇るローマ史を五つの時期に分けている。興隆の後にやってくるのは大きな変革だ。周辺諸民族を制圧し、地中海世界を支配したローマは、どのような形を整えて、「パクス・ロマーナ」と呼ばれる最盛期を迎えるのか。ここからしばらくは、帝国成立以前のローマ史を彩る人物の姿を追ってみたい。(全7話中第1話)
時間:11分38秒
収録日:2016年12月16日
追加日:2017年3月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●「ローマ帝国」はいつ始まったのか


 これまでのシリーズでは、世界帝国としてそれなりの形を整えてくるローマの興隆期までのお話をいたしました。今日は、それが帝国としての形を整えていく前の段階の話をしたいと思います。

 ローマ帝国というと、皆さんがすぐに思い浮かべるのは「皇帝」でしょう。帝国の「帝」は「みかど」を意味する字ですから、皇帝が存在してこその帝国という考え方があります。その考えに従って厳密に考えていくならば、ローマ帝国が始まった時期ははっきりしています。

 カエサルが暗殺された後、十数年の内乱の時期がやってきます。カエサルから後継者に任命されたオクタヴィアヌスは、当時わずか10代後半の若者でした。そのオクタヴィアヌスが30歳になるかならないかの時にローマ初の皇帝になります。厳密にいえば、彼は紀元前27年に「アウグストゥス」という称号を受けたのです。

 アウグストゥスはラテン語で「尊厳なる者」という意味です。ローマ市民としてこの称号を贈られるのは大変な名誉であり、いわばローマの第一人者に認められたということです。形式的には、これをもって「ローマ帝国(皇帝)の始まり」と考えられています。


●実質的なローマ帝国成立は紀元前146年


 「皇帝」はその時点で誕生しましたが、私自身は彼が「アウグストゥス」の称号を得るより120年ほど前、紀元前146年に実質的なローマ帝国が形成されたと考えています。

 紀元前146年は、地中海の西の方で第3回ポエニ戦争が終結し、ローマがカルタゴを徹底的に破った年です。これにより、ローマは地中海世界の西側で非常に大きな力を振るうことになります。

 また、東の方では、アレキサンダー大王以来マケドニアというギリシア人勢力が続いていました。ギリシア人の力を統合したこの勢力をたたきつぶし、その中の勢力圏として最後まで生き延びたコリントスというギリシアの都市をもローマは破壊します。これが、やはり紀元前146年のことです。

 つまり、西におけるカルタゴと東におけるギリシア人のコリントスの両者を勢力下においたのです。このように決定的に、地中海世界全体の覇者としてローマが登場を見せたのが、ちょうど紀元前146年なのです。


●地中海の覇者ローマに格差を生んだ「勝者ゆえの悲劇」


 歴史は得てしてそういう形を取るのでしょうが、ローマが地中海の勝者として立...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(1)米を食べる日本人と『分裂病と人類』
日本人の生きづらさの特徴は?~中井久夫著『分裂病と人類』
與那覇潤
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(3)ビットコインの革新と矛盾
暗号通貨は従来の通貨と何が違うか…ビットコインの矛盾点
養田功一郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之