ローマ帝国への道~ローマ史講座Ⅲ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
カエサル死後のアントニウスとオクタウィアヌスの対立
ローマ帝国への道~ローマ史講座Ⅲ(7)アントニウスとオクタウィアヌス
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏が、ローマがいかにして帝国形成にいたったのか、その経緯を解説するシリーズ最終話。カエサルというカリスマ的指導者亡き後、同じカエサル派のアントニウスとオクタウィアヌスの対立が激化。この対立には、カエサルも惹かれていたというエジプトのクレオパトラが絡んでくることになるのだが、最終的に勝利するのは。(全7話中最終話)
時間:9分47秒
収録日:2016年12月16日
追加日:2017年4月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●アントニウスとオクタウィアヌスの対立


 カエサルの部下たちの筆頭はアントニウスという人物です。アントニウスは自分がカエサルの第一の部下だったので、カエサルが亡くなった時には自分がカエサル派を率いてリーダーになると思っていました。しかし、意外やカエサルの遺言状には、後継者を自分の姉の孫(姪の息子)に当たるオクタウィアヌス(のちのアウグストゥス)に任命する、とありました。

 しかし、実質的にはアントニウスの勢力、あるいはアントニウスを支持する人たちもたくさんいましたので、アントニウス派とカエサルの後継者になったオクタウィアヌスとの対立が、大きくなっていきます。そうして、カエサルが死んだ紀元前44年から、紀元前の31年までの13年にわたって両者の対立が続いたのです。

 アントニウスは、皆さんもご承知のように(後述しますが)エジプトのクレオパトラと結んで、やがてローマ世界の東半分を自身の勢力下に置きました。そして、イタリアを含む西の方を、オクタウィアヌス派が勢力下に置いて、両者は対立します。


●対立、調停、そしてエジプトと結んだアントニウス


 両者とも、本来ならば対立すべきものではなく、お互いにいわばカエサル派として一緒になって行動しなければいけない、まとめていかなければいけないという意識が基本的にはあったわけです。しかし、実質的には両者の対立が激しくなっていきます。この対立の中では、いろいろな調停案が施されました。一番有名なのは、オクタウィアヌスからすれば自分の姉に当たるオクタウィアをアントニウスと結婚させたことです。

 オクタウィアはアントニウスとの間に実際に子どもをもうけます。しかし、(そこに)もともとポンペイウスが頼り、カエサルが基盤を築いてきたエジプト(の存在が立ちはだかります)。エジプトは、その段階ですでに3000年近い伝統があり、その王家が持っている資産は莫大なものでした。ですから、そうしたエジプトと結び付くことは、ローマにとって非常に有利です。その時、アントニウスが東の方に勢力を持っていたので、結局エジプトと結び付いたのです。

 そうした経緯の中で、カエサルもクレオパトラには非常に惹かれていたといわれており、シェイクスピアの劇にもあるわけですが、そのカエサルの第一の部下であったアントニウスもエジプトに行った時に、クレオパトラに惹かれていきま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治