教育論~歴史の中のエリートたち
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昔は人材を「みんなでちゃんと」育てようとする社会だった
教育論~歴史の中のエリートたち(3)個人の力量と社会の土壌
齋藤健(衆議院議員  第30代経済産業大臣)
 齋藤健氏の教育論の最終回は、原敬と山縣有朋に始まり、幕末の志士を経て徳川家康とアウグストゥスへ。歴史を知り、自分の頭で考えれば、対話はここまで広がる! 尽きることのないプロセスの中にこそ、明日の教育へのヒントが隠れているのかも知れない。(全3講話中第3話目)
時間:14分52秒
収録日:2014年2月18日
追加日:2014年6月5日
≪全文≫

●原敬と山縣有朋に見る「個人対個人」の力


齋藤 山縣有朋と原敬は、あれだけ立場が違っていて、喧嘩もしていたにもかかわらず、直接会って話をして、政策から人事に至るさまざまな相談をしていました。原敬の日記を見ていると、「大臣に人づてに指示が入ったが、差し金は山縣に違いないと思って、訪ねてきた」などの記述があって面白いです。

 原は山縣を訪ねて、自説の意味するところや実施方法、効果などを徹底して説明する。山縣のほうでは「いや、別に自分が反対説を指示したわけではない」と言いながらも、双方が納得するように話をつけていく。

 いわば国のために、すごい人のところへ一対一で勝負をしに行くわけです。山縣といえば日本陸軍80年の内の50年までを支配した男です。それを相手に、賊軍出身で何の後ろ盾もない男が勝負しに行く。また、それを山縣も受けて立つところが、いいですね。

―― 明治から1920年ぐらいまでの間は、個人対個人の力によるものが非常に大きいですね。

齋藤 大きい。

―― 陸奥宗光も一度は牢につながれるけれども、伊藤博文に抜擢される。原敬も司法学校で反乱を起こしたりして、似たようなところがありますね。

齋藤 原敬は大変でしたよ。


●人材を「みんなでちゃんと」育てようとする社会


―― しかし、有力者の引き立てとともに、当時は世間の緩やかさもありました。

齋藤 それはやはり、人を育てようという風土があったのだと思います。能力があってもお金のない家の子などがいると、応援して学校へ行かせてやる人が当時はいっぱいいました。

 野口英世もそうで、火傷による障害を手術する費用を集めたり、医者になるために上京するまで支援してくれる小林先生のような人が出てきています。今は、そんな人が出るかは疑問です。当時のほうが貧しかったからかもしれませんが、お互いに助け合って、優秀な子には道をつけてやろうという風土が、江戸から明治にかけては強くありましたね。

―― 「みんなで育てよう」という精神ですね。

齋藤 しかも「ちゃんと」育てようとします。特に、伸びると見込んだ子どもは単に生きていけばいいというのではなく、一流の学校へ入れ、経費をかけて教育しようとしました。明治政府自体がそういう姿勢で、貧乏な人にも全員に教育を与えることで、日本の近代国家を支える人材を作ろうとしていました。その...

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