教育論~歴史の中のエリートたち
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
昔は人材を「みんなでちゃんと」育てようとする社会だった
教育論~歴史の中のエリートたち(3)個人の力量と社会の土壌
齋藤健(衆議院議員)
 齋藤健氏の教育論の最終回は、原敬と山縣有朋に始まり、幕末の志士を経て徳川家康とアウグストゥスへ。歴史を知り、自分の頭で考えれば、対話はここまで広がる! 尽きることのないプロセスの中にこそ、明日の教育へのヒントが隠れているのかも知れない。(全3講話中第3話目)
時間:14分52秒
収録日:2014年2月18日
追加日:2014年6月5日
≪全文≫

●原敬と山縣有朋に見る「個人対個人」の力


齋藤 山縣有朋と原敬は、あれだけ立場が違っていて、喧嘩もしていたにもかかわらず、直接会って話をして、政策から人事に至るさまざまな相談をしていました。原敬の日記を見ていると、「大臣に人づてに指示が入ったが、差し金は山縣に違いないと思って、訪ねてきた」などの記述があって面白いです。

 原は山縣を訪ねて、自説の意味するところや実施方法、効果などを徹底して説明する。山縣のほうでは「いや、別に自分が反対説を指示したわけではない」と言いながらも、双方が納得するように話をつけていく。

 いわば国のために、すごい人のところへ一対一で勝負をしに行くわけです。山縣といえば日本陸軍80年の内の50年までを支配した男です。それを相手に、賊軍出身で何の後ろ盾もない男が勝負しに行く。また、それを山縣も受けて立つところが、いいですね。

―― 明治から1920年ぐらいまでの間は、個人対個人の力によるものが非常に大きいですね。

齋藤 大きい。

―― 陸奥宗光も一度は牢につながれるけれども、伊藤博文に抜擢される。原敬も司法学校で反乱を起こしたりして、似たようなところがありますね。

齋藤 原敬は大変でしたよ。


●人材を「みんなでちゃんと」育てようとする社会


―― しかし、有力者の引き立てとともに、当時は世間の緩やかさもありました。

齋藤 それはやはり、人を育てようという風土があったのだと思います。能力があってもお金のない家の子などがいると、応援して学校へ行かせてやる人が当時はいっぱいいました。

 野口英世もそうで、火傷による障害を手術する費用を集めたり、医者になるために上京するまで支援してくれる小林先生のような人が出てきています。今は、そんな人が出るかは疑問です。当時のほうが貧しかったからかもしれませんが、お互いに助け合って、優秀な子には道をつけてやろうという風土が、江戸から明治にかけては強くありましたね。

―― 「みんなで育てよう」という精神ですね。

齋藤 しかも「ちゃんと」育てようとします。特に、伸びると見込んだ子どもは単に生きていけばいいというのではなく、一流の学校へ入れ、経費をかけて教育しようとしました。明治政府自体がそういう姿勢で、貧乏な人にも全員に教育を与えることで、日本の近代国家を支える人材を作ろうとしていました。その...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾