「ものがたり」のあるコンプライアンス
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
厳格なルールを作ることがコンプライアンスの本質ではない
第2話へ進む
なぜ企業はコンプライアンスの本質から外れてしまうのか?
「ものがたり」のあるコンプライアンス(1)その本質とは
國廣正(弁護士・国広総合法律事務所パートナー)
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、コンプライアンスの本質にある「ものがたり」について解説する。一般的に、コンプライアンスは「やらされ感」のあるもので、「元気の出る」ものではないと考えられている。ここには「なぜ」コンプライアンスをすべきかという、ものがたり(物語)が欠如している。本来、コンプライアンスは企業の成長戦略と一体となったものなのだ。(全7話中第1話)
時間:12分30秒
収録日:2017年8月24日
追加日:2017年10月12日
≪全文≫

●コンプライアンスは起業の成長戦略と一体である


 弁護士の國廣正です。「ものがたり」のあるコンプライアンスというテーマでお話させていただきます。「やらされ感」のコンプライアンスから「元気の出る」コンプライアンスに変えていくためにはどうすべきか、考えていきたいと思います。

 皆さんはコンプライアンスという言葉に、どのようなイメージを持っているでしょうか。暗いイメージではないでしょうか。不祥事を起こした企業は、「このたびは大変申し訳ございません、今後はコンプライアンスを…」という決まり文句を言いますが、こうしたシチュエーションでこの言葉が使われることは確かに多いです。元気が出ない暗いイメージです。あるいは、法令遵守という言葉もあるように、企業でやたらと細かいルールをつくって、社員を縛るというイメージもあるのではないでしょうか。膨大なチェックリストやテンプレートを作成し、チェックするというイメージを持っている人も多いと思います。このように、コンプライアンスは企業の活力をそぐ過剰な縛りだと、一般的には考えられています。

 しかし、実はそれは本来のコンプライアンスではありません。コンプライアンスは本来、企業が持続的に成長していくためのリスク管理論です。企業がいろいろな経済活動を幅広く行っていると、事件や事故、不祥事は避けられません。不祥事が起きたときに、そこから逃げずに、あるいは隠さずに、ごまかさずに、それをいかに克服するかという、能動的な対応こそが求められるわけですが、その基本となる考え方がコンプライアンスというものなのです。

 一番大事なことは、こうしたコンプライアンスは、先ほど申し上げたような細かいルールで縛られるという受け身のものではない、ということです。むしろコンプライアンスは、企業の成長戦略と一体となった概念、すなわち企業で働く一人一人が仕事に対する誇りを持ち、正しく仕事をしていくこと、そして、それにより企業を発展させていくこと、そして当然その企業で働く一人一人の人生が豊かになるということなのです。しかし現状では、コンプライアンスは企業の活力をそぐという誤ったイメージがあります。それを改めることが、今回の目的になります。


●「なぜ」コンプライアンスかというストーリーが欠如している


 そもそも、なぜ企業はコンプライアンスの本質から外れてしまうの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
大人の学び~発展しつづける人生のために(2)熟達と遊び~好奇心から始まる学び
好奇心はコントロールが効かない…遊びの重要な条件とは
為末大
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦