元号とはなにか
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
天平時代の四文字元号から平安時代の「元号らしい元号」へ
元号とはなにか(2)奈良・平安時代の元号
山本博文(元東京大学史料編纂所教授)
平成から次の元号への改元を前に、「元号」への注目が高まっている。シリーズの第2話では、中国から導入した元号の風習が日本流に定着していく奈良時代から平安時代にかけての元号事情を追う。(全5話第2話)
時間:10分27秒
収録日:2018年9月13日
追加日:2018年11月24日
≪全文≫

●「天平」のイメージが強い奈良時代


 奈良時代は、天平時代ともいわれます。「天平」のイメージが強いのは、元号が天平であることから形作られたもので、この時代の文化を天平文化といいます。

 そもそも天平という元号は、729年に祥瑞によって定められます。これは、「天王、平ヲ貴ビ、百年ヲ知ラシメス」と、非常に立派な天皇が長い間の平和を実現したという意味の文章が亀の背中の甲羅に表示されていたということで、それを世にも珍しいこととして天平の元号を定めるわけです。

 その後、天平は元号が4文字になって続きます。「天平感宝」は、陸奥国から金が献上された慶事を祝う元号です。次の「天平勝宝」は、聖武天皇が上皇になった後、その娘である孝謙天皇の即位を契機に改元されました。「天平宝字」も祥瑞であり、蚕が産み付けた卵に「宝」の字が現れたので元号を改めるのですが、この時に淳仁天皇が即位しています。次に「天平神護」は、藤原仲麻呂の乱を鎮圧して、孝謙太上天皇が重祚して称徳天皇になるのを契機としています。「神護景雲」は祥瑞です。

 このように、天平時代は「天平感宝」以降4文字の元号が続いているわけですが、そのほとんどに「天平」が付いているので天平時代と呼びならわされています。

 なぜ4文字の元号を使ったかというと、当時の皇后である光明皇后が、中国で武周朝を立てた則天武后の使った4文字元号に倣ったからです。ちなみに、中国の元号は「天冊万歳」「万歳登封」「万歳通天」です。


 この4文字の元号は、称徳天皇が崩御して光仁天皇が即位された時に改められ、「宝亀」という2文字の元号が定められます。これも祥瑞です。次に伊勢神宮に美雲が現れたということで「天応」と、やはり祥瑞による改元を行います。

 先述したように、奈良時代は天平という元号のイメージが強く、この時代の文化も天平と呼ぶということです。


●元号らしい元号が定着した平安時代


 平安時代に入ると、その前期は奈良時代同様に政争の時代で、非常に多くの政変があります。桓武天皇は延暦13(794)年に平安京に遷都します。そして、清和天皇の時に代始めの改元として「貞観」の元号が用いられますが、天変地異の相次ぐ時代として今でも「貞観の大地震」などが引き合いに出...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥