元号とはなにか
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
天平時代の四文字元号から平安時代の「元号らしい元号」へ
第2話へ進む
大宝律令が元号を日本の社会に定着させた
元号とはなにか(1)元号の始まり
山本博文(元東京大学史料編纂所教授)
2019年5月1日、新しい元号がスタートする。新元号の公表時期はおよそ1カ月前と発表されている。この機に先んじて、東京大学史料編纂所教授の山本博文氏に「元号とはなにか」を集中講義していただいた。第1回の今回は、元号の始まりと日本古代の元号についてお話しいただく。(全5話中第1話)
時間:8分05秒
収録日:2018年9月13日
追加日:2018年11月23日
≪全文≫

●日本での元号の始まりは「大化」


 こんにちは。東京大学史料編纂所教授の山本博文です。今日は「元号とはなにか」というお話をしたいと思います。

 元号の始まりは、もともと中国の前漢の時代に元号がつくられます。武帝という前漢の皇帝が「建元」を使ったのが最初です。

 日本での元号の始まりは「大化」で、西暦645年に制定されます。つまり長い歴史を持つ中国の元号が日本に取り入れられたということになります。

 原理的にいえば、元号は「皇帝が、領地や人民だけではなく、時間をも支配する」という観念の現れと見ることができます。

 では、なぜ日本に元号は導入されたのでしょうか。西暦645年には中大兄皇子が権勢をふるった蘇我入鹿を殺害して、蘇我氏の本宗家を滅ぼした「乙巳(いっし)の変」がありました。これが契機になって、新しい政治が始まります。その政治を「大化の改新」というわけですが、天皇家中心の世の中になったことを示す、一つの象徴として「大化」という元号が選ばれたと考えられます。


●事があれば使われていた初期の元号


 最も初期の元号は、どのように扱われてきたでしょう。大化6(650)年に穴戸国(あなとのくに、山口県西部)の国造である草壁連醜経(しこぶ)という人が、白雉(しろききぎす、白いキジ)を献上します。これは非常にめでたいことだ=「祥瑞」だということで、「白雉(はくち)」という元号に改元します。つまり、大化ー白雉と続くわけです。

 白雉5(654)年に孝徳天皇が崩御して、斉明天皇が即位する時に元号は制定されません。つまり白雉以降、改元がなされず、元号の使用は32年間にわたって途絶えるわけです。

 その間、斉明天皇が崩御し、唐・新羅の連合軍との戦いである「白村江の戦い」があって、日本は敗北。唐・新羅が攻めてくる心配もあり、国中に城を築いたり、都も大津府にうつす世情となります。やがて天智天皇が即位しますが、死後に「壬申の乱」が起こり、弟である天武天皇が即位します。

 天武天皇15(680)年に、今度は赤いキジの献上があって、これは非常にめでたいということで「朱鳥」という元号に改元します。つまり、しばらく使われていなかった元号が、このような祥瑞があったということで、再び国を統一した天武天皇の元で制定されることになるわけです。

 天武天皇が崩御して、皇后だった持統天皇が即位します...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
技術と民生から見た明治維新(1)遠藤謹助
遠藤謹助―造幣局をつくった「造幣の父」
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(8)AI時代の人間の価値
労働市場改革を妨げる労組や、不登校を救えぬ文科省こそが邪魔だ
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(7)エクイティ実現と特権性の理解:後編
パワハラもコンプラも…企業内エクイティで大事な「境界線」
青島未佳
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
睡眠不足が生活習慣病や精神疾患を招く…睡眠の5つのミッション
西野精治
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎