元号とはなにか
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天皇家や朝廷の衰微が元号制定に大きな影響を与えた
元号とはなにか(3)鎌倉・室町・戦国時代の元号
山本博文(元東京大学史料編纂所教授)
新しい元号への注目が集まる中、歴史的遺産と呼べる元号本来の意味合いや変遷について、日本人は案外知ることが少ない。平安貴族の定めた元号の風習は、武家支配の世の中をどのように生き延びたのか。シリーズ第3話では、鎌倉、室町時代など中世の元号事情を追う。(全5話第3話)
時間:9分36秒
収録日:2018年9月13日
追加日:2018年11月25日
≪全文≫

●「建」の字で始まった武家支配の世


 鎌倉時代になると、治承4(1180)年2月21日に、高倉天皇と平徳子の間に生まれた言仁(ときひと)親王を践祚させ、安徳天皇とします。安徳天皇が代始めとして「養和」に改元します。

 しかし、安徳天皇が平氏系の天皇だったことから、対立していた源氏は治承という元号を継続して使用します。つまり、自分が支持しない政権が改めた元号は使わず、そのことで反政権を示す姿勢が、ほぼこの頃から行われているわけです。

 平氏が都落ちすると、後白河法皇は高倉天皇の第四子を践祚させて後鳥羽天皇にします。後鳥羽天皇の誕生で「寿永」への改元が行われますが、安徳天皇を奉じる平氏は当然それまでの養和という元号を使うことになります。

 寿永2(1183)年10月14日に、朝廷は源頼朝の東国支配権を公認します。その後、平氏は亡び、元号は一本化されます。鎌倉幕府の初期には、「建久」「建仁」「建暦」「建保」と「建」の字がつく元号が目立ちます。これは、新しい武家支配の成立、新しい政権を立てるという意味で「建」が好まれる傾向があったのかと感じられます。


●二つの朝廷、二つの元号が続いた南北朝時代


 鎌倉時代の末期、後醍醐天皇が元徳3(1331)年8月9日に「元弘」に改元します。しかし、幕府はこれを認めません。幕府の方では反乱を起こそうとする後醍醐天皇の改元に反対を唱えたわけです。翌元徳4(1332)年は、後醍醐天皇の元号では元弘2年に当たりますが、この年、光厳天皇の即位による「正慶」への改元が行われます。

 その後、後醍醐天皇の討幕運動が成功して、鎌倉幕府は倒れることになります。それまでずっと元弘が継続しているという解釈だった後醍醐天皇は、元弘4(1334)年に「建武」と改元を行います。建武は、幕府を倒して政権を樹立したという意味で、後醍醐天皇は「武」の字を使いたかったのだと思います。公家の間では「武」のような物騒な字が元号に入るのは非常に好ましくないと批判したという話も残っています。

 建武3(1336)年になると、後醍醐天皇は主導権が取れないために京を逃れ、「延元」に改元します。京を維持した足利尊氏は、後醍醐天皇政権の下で定められた「建武」の元号を引き続き使います。

 その後、足利尊氏は光明天皇を北朝に擁立し、代始めとして「暦応」に改元します。これ以降、尊氏はこの元号を使い、南朝は...

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