元号とはなにか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
天皇家や朝廷の衰微が元号制定に大きな影響を与えた
元号とはなにか(3)鎌倉・室町・戦国時代の元号
山本博文(元東京大学史料編纂所教授)
新しい元号への注目が集まる中、歴史的遺産と呼べる元号本来の意味合いや変遷について、日本人は案外知ることが少ない。平安貴族の定めた元号の風習は、武家支配の世の中をどのように生き延びたのか。シリーズ第3話では、鎌倉、室町時代など中世の元号事情を追う。(全5話第3話)
時間:9分36秒
収録日:2018年9月13日
追加日:2018年11月25日
≪全文≫

●「建」の字で始まった武家支配の世


 鎌倉時代になると、治承4(1180)年2月21日に、高倉天皇と平徳子の間に生まれた言仁(ときひと)親王を践祚させ、安徳天皇とします。安徳天皇が代始めとして「養和」に改元します。

 しかし、安徳天皇が平氏系の天皇だったことから、対立していた源氏は治承という元号を継続して使用します。つまり、自分が支持しない政権が改めた元号は使わず、そのことで反政権を示す姿勢が、ほぼこの頃から行われているわけです。

 平氏が都落ちすると、後白河法皇は高倉天皇の第四子を践祚させて後鳥羽天皇にします。後鳥羽天皇の誕生で「寿永」への改元が行われますが、安徳天皇を奉じる平氏は当然それまでの養和という元号を使うことになります。

 寿永2(1183)年10月14日に、朝廷は源頼朝の東国支配権を公認します。その後、平氏は亡び、元号は一本化されます。鎌倉幕府の初期には、「建久」「建仁」「建暦」「建保」と「建」の字がつく元号が目立ちます。これは、新しい武家支配の成立、新しい政権を立てるという意味で「建」が好まれる傾向があったのかと感じられます。


●二つの朝廷、二つの元号が続いた南北朝時代


 鎌倉時代の末期、後醍醐天皇が元徳3(1331)年8月9日に「元弘」に改元します。しかし、幕府はこれを認めません。幕府の方では反乱を起こそうとする後醍醐天皇の改元に反対を唱えたわけです。翌元徳4(1332)年は、後醍醐天皇の元号では元弘2年に当たりますが、この年、光厳天皇の即位による「正慶」への改元が行われます。

 その後、後醍醐天皇の討幕運動が成功して、鎌倉幕府は倒れることになります。それまでずっと元弘が継続しているという解釈だった後醍醐天皇は、元弘4(1334)年に「建武」と改元を行います。建武は、幕府を倒して政権を樹立したという意味で、後醍醐天皇は「武」の字を使いたかったのだと思います。公家の間では「武」のような物騒な字が元号に入るのは非常に好ましくないと批判したという話も残っています。

 建武3(1336)年になると、後醍醐天皇は主導権が取れないために京を逃れ、「延元」に改元します。京を維持した足利尊氏は、後醍醐天皇政権の下で定められた「建武」の元号を引き続き使います。

 その後、足利尊氏は光明天皇を北朝に擁立し、代始めとして「暦応」に改元します。これ以降、尊氏はこの元号を使い、南朝は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ロシア「内政・経済・外交」の真実(1)国民の支持を意識するプーチン政治
ウクライナ侵攻も支持率対策か…プーチン政治の実態に迫る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎