元号とはなにか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
元号を使う国は日本だけ…その意義と制定時の6つの留意点
元号とはなにか(5)元号の本質と将来の展望
山本博文(元東京大学史料編纂所教授)
かつて中国の制度を取り入れて始まったのが日本の元号だが、今や元号を使用する国は世界中で日本だけとなっている。第二次世界大戦後、連合国の占領時代には元号廃止論を唱える動きもあった。シリーズ最終話では、元号の本質を改めて確認しつつ、元号の将来が展望される。(全5話第5話)
時間:10分11秒
収録日:2018年9月13日
追加日:2018年11月27日
≪全文≫

●元号を創出した前漢・武帝の意図


 そもそも元号の本質はなにかということを、さかのぼって考えてみましょう。

 元号は、皇帝や王が自らの治世で時間を区切るものです。長い時間がずっと一律に続くのではなく、「この天皇のときには、その時間をこう呼ぶ」ということを示しています。

 そもそも元号を創出した中国・前漢の武帝の意図は、皇帝が領土だけではなく時間をも支配するというものでした。日本においては、中国の制度を導入しながら、中国からは独立した国だということを主張するために、独自の元号を使ったと評価することもできます。

 もう一つの意図は、元号を使うことが、その時代の近代性や国家をつくった象徴でもあったことです。

 日本では、南北朝の時代に、南朝と北朝の二人の天皇が並存して、ともに独自の元号を建てることになります。そのため、南朝方の武士は南朝の元号を使い、北朝方の武士は北朝の元号を使います。元号を使うことは、その元号を制定した君主に従うことであったことをよく示す例です。


●世界で元号を使っているのは日本だけ


 これは東アジアでも同じことで、元号を使う伝統があるのは、中国、日本、東アジア諸国です。

 例えばベトナムでは、980年ごろに「太平」という元号を使い始めます。これは独立国だから、こういう元号を使ったわけで、中国の明に併合されると独自の元号はなくなります。そして1428年、独立を回復すると「順天」という元号を建てます。元号を中国以外のものにするということが、その国の独立を示しているわけです。

 1945年、ホー・チ・ミンによる革命で王朝が滅びることになります。王がいなくなったため元号は廃止し、社会主義国でもあったことから西暦が使われるようになります。今のベトナムには元号はありません。

 朝鮮半島では、かつて高句麗、新羅、渤海などの国が分立した時、それぞれ独自の元号を使っています。1392年に建国した李氏朝鮮は明の冊封国になり、明の元号を使います。明の皇帝支配の下にいる王ということになります。明が清に交代した後は、朝鮮は清の元号を使います。

 元号の本家である中国では、清の滅びた1911年、最後の皇帝の愛新覚羅溥儀の時代に使われた「宣統」を最後に、元号は使われなくなります。

 朝鮮は1897年に清から独立し、大韓帝国という国号を定めて以後、「光武」「隆煕」と独自の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
明智光秀の真実(1)謎につつまれた前半生
明智光秀は「主殺しの悪人」か?…諸説入り乱れる人物像の謎
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史