ブラックホールとは何か
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
天の川にある謎の物体の正体は?
第2話へ進む
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
銀河の中心にある巨大なブラックホールは一体何なのか。それを考えるためには、宇宙にある数多の銀河の構造について正しく理解する必要がある。私たちが住むこの太陽系は、天の川銀河という巨大な銀河のごくごく小さな一部分である。(全8話中第1話)
時間:6分51秒
収録日:2018年10月31日
追加日:2019年3月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●私たちは天の川銀河の中に住んでいる


 慶應義塾大学の岡です。このシリーズは、「銀河中心の超大質量ブラックホール」についてお話しします。

 このタイトルには、多分多くの方にとってはあまりなじみのない語句が並んでいると思いますので、その説明から入ります。

 まず、私たちが住んでいる銀河とは「天の川銀河」というところに相当します。天の川銀河とは、私たちが「天の川」として認識しているものです。

 まず画像でお見せしたのは、私たちの目に見える光である可視光の写真を全天合成したものです。天の川の中心方向が真ん中になっており、びっしりと多数の星が写っているわけです。

 右側の画像は、天の川銀河系(=天の川銀河)を上から見た想像図です。一般的に、私たちが目にする天の川は、これを横から見ているのです。

 ちなみに、私たちの住んでいる天の川銀河は、一般には「棒状渦巻銀河」と呼ばれる銀河に分類されます。直径は約10万光年、つまり光でも10万年かかるくらいの大きさです。質量は1.5×1012太陽質量です。平たくいえば1.5兆太陽質量で、太陽の1.5兆倍ということです。年齢は宇宙年齢とさほど変わらず、130億年程度と考えられています。


●天の川の構成要素は?


 この銀河系(=天の川銀河)を構成する要素として、まず私たちが目にすることができるのは恒星です。恒星の数は2000億から4000億個あるといわれています。

 恒星以外には、「星間ガス」と呼ばれるものがあります。これは恒星の1割程度の質量です。

 また、銀河系(=天の川銀河)内においては「ダークマター」という謎の物質が、最も多くの割合を占めていることが分かっています。これについてはあまり深入りしませんが、私たちはこうしたものの中に住んでいると考えられています。私たちは、この銀河系(=天の川銀河)の中心から2万7000光年ほど離れた位置にあり、画像でいうと黄色の星の位置にいると考えられているのです。


●宇宙にはたくさんの銀河が満ちている


 天の川銀河の近くには、他にも多くの銀河があります。その一つが、有名なアンドロメダ銀河です。アンドロメダ銀河は、銀河系(=天の川銀河)から200万光年離れたところにある別の銀河です。

 さらにこの画像の右下の方をご覧...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子