宗教で読み解く世界
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イスラム教とアッラーの意味…キリスト教との関係と違い
宗教で読み解く世界(2)イスラム教の世界
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
イスラム教は唯一神アッラーを信仰し、預言者ムハンマドに下された神の啓示を記したコーランを第一の法律とする。そして、イスラムそのものが全ての一神教の中で一番格上と位置づけている。今回は日本人にとってなじみの薄いイスラム教を取り上げ、その理解を深める。(全5話中第2話)
時間:12分52秒
収録日:2019年1月21日
追加日:2019年5月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●イスラムに関する理解度が低い日本


 橋爪大三郎です。今日は、イスラム教についてお話ししましょう。

 イスラム教はキリスト教に比べて、日本人にはなじみが薄いかもしれません。周りにイスラム教徒があまりいないからです。ですから、日本人はイスラム教になじみがなくても当たり前と思っていますが、でも、これは世界の常識と違うので注意してください。イスラム教徒は全部で15億人ほど、主にミドルイースト(中東)という場所にいますが、中央アジアやアフリカ、インドの両側や東南アジア、インドネシアに至るまで、世界中にいます。

 ヨーロッパは、イスラム世界と境を接していますから、ヨーロッパ人はいつもイスラムを意識しています。もう1000年以上意識しています。インドはイスラム世界と混じり合っています。ヒンドゥー教とイスラム教は、実はあまり仲が良くない面があるのですが、いつもイスラムを意識しています。

 中国は新疆ウイグルというところを清朝が占領して、中国の一部にしました。そこはウイグル族やカザフ族がいて、人口の大部分がイスラム教徒です。そこから中国中にいろいろな人が入り込んできていて、3,000万人ほどいると思うのですが、中国の都市だったら、必ずイスラムレストランがあったり、イスラムのコミュニティーがあったりします。ですから、中国の人たちはイスラム教をいつも意識しています。
 このように考えていくと、ロシアももちろんイスラムと境を接していますので、世界中でイスラムについてあまり興味と関心がなく、イスラム教徒もほとんどいないというのは、日本だけなのです。日本はそういう意味でイスラムの理解度が非常に低いので、基礎的なことをしっかり学ぶ必要があります。


●イスラムを考えていく順番とアッラーの意味


 さて、イスラムのことを考えていく順番についてお話しします。アッラーという神がいるのですが、アッラーとは何か。それから、預言者ムハンマドという人がいますが、ムハンマドとは何か。また、ムハンマドの聞いたアッラーの言葉、アッラーの啓示をまとめたコーラン(クルアーン)という本がありますが、コーランとは何か。さらに、イスラムの人々はどのように宗教生活を送り、日常生活を送る人々なのか。こういう順番で理解していくのがいいかと思います。

 最初にアッラーについてです。アッラーを神の名前だと誤解しないようにし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治