「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある
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アートや建築など多領域に広がるアフォーダンスの考え方
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トップアスリートが語る究極の「アフォーダンス」とは
「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(1)アフォーダンスとは何か-1
佐々木正人(多摩美術大学美術学部・統合デザイン学科教授/東京大学名誉教授)
生態心理学の中心的理論である「アフォーダンス」について解説するシリーズレクチャー。アフォーダンスはアメリカの心理学者ジェームズ・ギブソンの造語で、一言でいえば「動物に行為を与える環境の資源」ということになる。すなわち、動物の行為には環境の意味や価値が大いに影響しているのであり、佐々木正人氏はこのことをトップアスリートの究極のアフォーダンスを例に示してくれた。(全9話中第1話)
時間:16分14秒
収録日:2019年3月18日
追加日:2019年7月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●ジェームズ・J・ギブソンのアフォーダンス論


 佐々木正人と申します。専門は生態心理学・エコロジカルサイコロジーという領域です。「エコロジカル」は生態学的という意味で、あまり聞きなれない心理学領域だと思います。その生態心理学の中心にあるのが「アフォーダンス」という言葉で、世の中にだいぶ知られるようになったと思いますが、今日はそのアフォーダンスについていろいろな観点からお話しいたします。

 アフォーダンスという言葉は、ジェームズ・ジェローム・ギブソンというアメリカの心理学者によるものです。彼は1904年に生まれて1979年に亡くなったのですが、プリンストン大学を出た後、中年期から最後までニューヨーク州の端にあるコーネル大学で長く教鞭を執っていました。

 スライドに写真が出ていますが、とてもチャーミングな感じの方です。私は会ったことはないのですが、奥さまにはお会いしてお話をうかがったことがあります。


●ギブソンがまとめた3冊の著書


 ギブソン氏は100本近い論文を書いているのですが、生涯で3冊の本をまとめています。1冊目が『The perception of the visual world』というタイトルの本で、日本では「視覚ワールドの知覚」と訳されています。これは“visual world”という言葉を世に出した本です。この本を書いてからずいぶんといろいろ考えて、この本のことを前期ギブソンの著作としています。

 2冊目が16年後に書いた『The senses considered as perceptual systems』(日本名で「生態学的知覚システム」)というタイトルの本で、これは私たちが翻訳しました。ここでは身体をベースに感覚受容器への刺激ではなく、空気や水といった環境にあるインフォメーションも身体のインフォメーションとして知覚のリソースになるのではないかという話を展開しています。ここでもうアフォーダンスということが出てきます。

 2冊目の著作から13年たった頃のノートがコーネル大学の図書館に残っていてアーカイブ化されています。それを見ると、1970年代に入ってからずいぶんといろいろ検討していることが分かります。最後は癌で亡くなったのですが、自身の死期を悟ってまとめた本が『The Ecological Approach to Visual Perception』です。このタイトルは最初『An Ecological~』であったものを最後に“The”にしたということ...

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