●面のレイアウトには多様な意味がある
媒質の情報が特定しているのはサーフェスのものすごく多様なレイアウトで、デザイナーなどはそこに新しいレイアウトを付け加えようと頑張っているわけです。
では、どのような情報があるのかを少し紹介します。
ギブソンはまず地面、囲い、遊離物、付着物を挙げています。遊離物(detached object)とは持ち上げられる物のこと、付着物とは木のような物で地面から切り離せない物のことで、オブジェクトはこの2つだとギブソンは言っています。それから、部分的囲い、場所も挙げています。つまりギブソンは、われわれがどのように住んでいるのか、どのような物があるのかというようなことを全部面のレイアウトで語ろうとした人なのです。
●乳児の歩行と地面や床面のレイアウト
いくつかのレイアウトを動画で紹介しますが、それは私どもが編集した『動くあかちゃん事典』(小学館)という動画のデータベースに収録されているものです。
まず、最近ニューヨークの実験室で行った研究なのですが、151名の歩き始めの乳児を観察したところ、1日に14,000歩歩いていたということが分かりました。移動距離は大体4キロメートルくらい、また約100回転んでいたのです。要するに、歩き始めというのは結構たくさん歩いていて、4~5歩で転んで方向転換する、ということを延々とやっているのです。そのようなことを可能にしているのが地面なのです。
もう1つ面白い研究があります。日本の研究なのですが、座位から立ち上がって歩く、立位から歩き始めるなど、いろいろな場合があるのですが、6割の赤ちゃんが何か物を持っていたというのです。
その映像をご覧ください。歩き始めのこの子も物を持って歩いています。うまく歩いていますが、ここにあるおもちゃをあちらに持っていくというのがモチベーションなのです。
●段差と乳児の動き
また、部屋の中にはいろいろな段差があります。この段差も、赤ちゃんはとても楽しみます。
ここで、初めて寝返りをした時の赤ちゃんの映像をご覧ください。
この子は5カ月18日の赤ちゃんです。ベビー布団と床の段差のところにたまたま来ました。今、初めて寝返りをしたのですが、この声がなんとも言えませんよね。「やったぞ」という感じです。私たちが見た赤ちゃんは皆、大体こういう段差で寝返りをしました。
次は、段差で転ばないことを工夫する1つの映像なのですが、こちらはお風呂場からキッチンに下りる段差の映像です。非常に慎重に下ります。この場合、転ばないようにどうするか、彼なりにすごく工夫をして下りたと思います。
調べてみると、ここには転げ落ちることを前提としているベビー布団や、両親のベッドとかソファーがあるのですが、ソファーなどは飛び降りて遊ぶのです。そのような飛び降りて遊ぶ段と、床と床の段とかドアのレールのような建具枠、あるいは階段といった、転ばないように慎重に下りる段があり、段によって姿勢の取り方が違うということが分かりました。
●壁や物と乳児の行動
次は壁です。
赤ちゃんは歩き始めの頃はとても壁が好きなんだな、ということが分かる映像です。彼にとってどれぐらい壁が興味深いものなのか、よく示している映像だと思います。
こちらはつかまり立ちを始める時に、壁際にあるいろいろなレイアウトを利用しているという映像です。初めてのつかまり立ちですが、足をつく位置、手をつく位置などよく見てください。
非常によく、姿勢を崩さないように足をつく場所等を考えながら動いています。この映像でも若干そうなっていますが、つかまり立ちというのはそこを越えて向こう側に見えがあるところで行われます。この画面でいえば、窓の向こう側が見えるようなところです。あるいは、たんすの向こうが見えるというような所で行われることが分かっています。
部屋の中にはいろいろな物が散らばっていますが、それを遊び道具にしたのが積み木です。この図はお母さんと0歳代後半の子どもが遊んでいるところですが、お母さんは子どもが積み木を積むのを待っています。それから、子どもの手を取って、押して積み木を崩させるということ...