「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「環境は大きく分けて3つの性質からなる」
「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(4)水と空気にある情報
佐々木正人(多摩美術大学美術学部・統合デザイン学科客員教授/東京大学名誉教授)
動物は空気や水といった媒質の中を移動でき、そのことで生じた情報の変化を知覚する。つまり、媒質には移動と知覚のアフォーダンスがあるということだ。われわれはそうした媒質に取り囲まれていて、その情報を探ったり、導かれたりしている。(全9話中第4話)
時間:15分04秒
収録日:2019年3月18日
追加日:2019年8月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●環境は3つの性質からなる


 情報はおそらく、私たちを囲んでいるところにあると思います。ジェームズ・ギブソンは、「環境は大きく分けて3つの性質からなる」と言っています。1つは物質。これは異種の混淆物で、硬さや密度、粘性などがあるいわゆる物質です。スライドに写真がありますが、山もそうですし、橋も人の体や水自体も物質です。媒質というのは大体、空気が中心です。ただ、高い均質性を備えていて、無色で、無臭で、透明に近い、そういうところが情報の媒質になります。スライドでいうと、空気の中とか水の中などが媒質となります。

 ギブソンの理論の非常に特徴的なところなのですが、物質と媒質のインターフェース(界面)にあるサーフェス(表面)にはいろいろなレイアウトがあります。そのレイアウトにものすごくたくさんのアフォーダンスがあるのです。ですから、エコロジカル(生態学的)な心理学で環境を考えるときには、物質と媒質とサーフェスのレイアウトの3つを考えようということになります。今回は媒質について考えます。


●媒質のアフォーダンス-移動すると知覚情報が変わる


 水や空気にはいろいろなアフォーダンスがあるのですが、1つは抵抗なしにその中を動けるということです。水にはもちろん抵抗はありますが、物質の中を歩くことはできません。動物は媒質の中を移動するわけで、つまり媒質には移動のアフォーダンスがあるということになります。

 媒質はほぼ透明で光を伝達するので、視覚を与えます。物から生じる振動や圧、物をぶつけると衝撃波が伝播するので、聴覚を与えます。それから、われわれの身体もそうですが、有機物からは非常に微小な化学物質が放散していて、その周りには匂いの雲ができています。そうやって木なども匂いを出しているわけです。そのような小さな雲があって、嗅覚を与えています。このように媒質のアフォーダンスは移動と知覚が中心となります。

 重要な主張は、移動とは単にA地点からB地点に行くということではなく、移動すると視覚や聴覚や嗅覚の情報が変わるということです。ですから、動物が移動するというのは単なる場所を移すということではなく、情報を探索するというのがその目的なのです。

 ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦