「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
生態心理学者としてのダーウィンを考える
「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(8)ダーウィンの心理学-1
佐々木正人(多摩美術大学美術学部・統合デザイン学科客員教授/東京大学名誉教授)
『種の起源』で知られるダーウィンは、動植物に関する緻密な観察記録も多数残している。『植物の運動力』『ランの受精』など、いずれも豊富な図版を多用し、植物は外からの生態学的な情報を受けて、動きや形を生みだしていることを証明している。この点に、佐々木正人氏はギブソンの情報論との関連性を見いだしている。(全9話中第8話)
時間:7分17秒
収録日:2019年3月18日
追加日:2019年8月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●生態心理学者としてのダーウィンを考える


 アメリカの生態心理学者にエドワード・リードという人がいて、1990年代に交流があったのですが、40代で心臓病を患い亡くなってしまいました。非常に優れた本をたくさん書いているのですが、彼からチャールズ・ダーウィンのことをいろいろと教えてもらいました。彼によると、ダーウィンはひょっとしたらエコロジカル・サイコロジー(生態心理学)の先駆者だったかもしれないということです。

 映像でご覧いただいているのは晩年のダーウィンですが、生涯17冊の本を書いています。『種の起源』はいうまでもなく有名ですが、それ以外にいろいろな動植物を対象にした分厚い観察記録を残しています。


●観察と記録に徹したダーウィンの『植物の運動力』


 例えば、『植物の運動力』は亡くなる少し前の1880年に書かれた本です。

 これは、多種の植物の幼根や子葉、茎、葉の先端に小さな黒いビーズ玉を付けてガラスの板を置き、それらが動いた痕跡が黒く残るようにしたのですが、それを196枚の図で示した本なのです。私はロンドン郊外のダーウィンの家に行ったことがあるのですが、彼はほとんどそこで暮らしていて、毎日このような観察をしていたようです。

 例えば、上にソラマメの幼根に小さな紙片を付けると右に曲がるという図を示しました。

 また、上はソラマメの幼根をススを塗ったガラスのそばに置いた時にガラスの上に残した痕跡や、キャベツの幼根の回旋と屈地性(地面に向かっていく)運動、あるいはキャベツの子葉の回旋運動やキャベツの背地性(地面を避けて上に行く)運動などですが、これらは23時間の記録です。

 他にも、上にシクラメンの花柄の成長を67時間追った図、ヤマユリの茎の回旋運動37時間の図、ノウゼン...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓