NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)『ばけばけ』で注目を集めたラフカディオ・ハーン。彼の遺著『神国日本 解明への一試論』は、「祖先崇拝」という補助線で、日本人の美しい精神性の謎を見事に解き明かした本であった。また、実は戦後日本の運命を決めた「歴史を動かした一冊」でもある。加えて、古き日本人が持っていた高潔な美しさだけでなく、その背景にある「恐ろしさ」も見出し、さらにその後の日本の「大敗北」を予見するかのような鋭い警告も綴られていた。ラフカディオ・ハーンのメッセージが、「縁の結び直し」を求める現代のわれわれの心にどう響くのか。ラフカディオ・ハーンの眼を通して日本文化の深層を探る講義シリーズの「序論」。(全8話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
3.日本や古代ギリシャは宗教的に未開ではなく、むしろ理想形態
2026年3月24日配信予定
4.夢魔の重圧?…なぜ「バチあたりの人間」が村八分になるのか
2026年3月24日配信予定
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2026年3月24日配信予定
5.世界が驚いた日露戦争の日本の強さ…秘密は庶民の心にある
2026年3月30日配信予定
6.恐ろしい日本…常に何者かに見られ、個性が抑圧される社会
2026年3月31日配信予定
7.弱者を抑圧する自由より、叡智によって制約される自由を!
2026年4月6日配信予定
8.他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
2026年4月7日配信予定
時間:9分44秒
収録日:2026年2月20日
追加日:2026年3月23日
収録日:2026年2月20日
追加日:2026年3月23日
≪全文≫
●NHK朝ドラ『ばけばけ』とラフカディオ・ハーン『神国日本』
―― 皆様こんにちは。
頼住 こんにちは。
―― 本日は頼住光子先生に、ラフカディオ・ハーンの『神国日本』という本についてお話を伺います。ラフカディオ・ハーンといえば、ちょうど2025年から2026年の朝ドラ『ばけばけ』で取り上げられていて、なかなか面白いドラマでした。
頼住 はい。
―― 特にハーンの書いたものを知っていると、例えばハーンが出雲地方に来た時の町の景色や、朝早く起きて見たシーンの描写が重なって見えてきます。漁師さんが太陽にお祈りしているシーンがパッと映ったりすると、「ああ、これはそういうことなんですね」と分かって、すごく面白い見え方がしてきます。
頼住先生は、このラフカディオ・ハーンという人が、現代日本においてどのような意味を持っていると思われますか。
頼住 はい。このラフカディオ・ハーンですが、『神国日本』という本は彼の最後の著作ということになります。その中で「日本人というものが、いったいどういう人たちなのか」ということを、「外からの目」で書いてくださっていることが非常に大きいと思います。
日本人だと、自分のことなのでなかなか見えなかったり分からなかったり、あるいは無意識的になってしまったりするような、日本人の宗教性や道徳性、倫理性。そういったものを、外からの視点として非常に具体的に、そして感性豊かに残してくださっていると感じます。
―― 『神国日本』と言うと、現代では響きとして「ん?」と疑問に思って構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。これについては後の講義で詳しく説明しますが、実はハーン自身が原稿の冒頭に「神国」という言葉を記していたということがあります。そのあたりの経緯は、次の講義で詳しく見ていきたいと思います。それにしても、本当に「あの時代の日本人の美しさ」を、よくここまで描いてくれましたね、と感じる本ですね。
頼住 そうですね。本当に「日本人の良さ」というものを、――もちろん、その反面にある「問題性」についても触れているわけですが――、その良さを非常に曇りのない目で見つめて書いてくださっています。
この時代の西洋人の日本観というのは、たとえ日本を非常に好意的に見ていたとしても、やはり「未開な国」だとか「西洋から...
●NHK朝ドラ『ばけばけ』とラフカディオ・ハーン『神国日本』
―― 皆様こんにちは。
頼住 こんにちは。
―― 本日は頼住光子先生に、ラフカディオ・ハーンの『神国日本』という本についてお話を伺います。ラフカディオ・ハーンといえば、ちょうど2025年から2026年の朝ドラ『ばけばけ』で取り上げられていて、なかなか面白いドラマでした。
頼住 はい。
―― 特にハーンの書いたものを知っていると、例えばハーンが出雲地方に来た時の町の景色や、朝早く起きて見たシーンの描写が重なって見えてきます。漁師さんが太陽にお祈りしているシーンがパッと映ったりすると、「ああ、これはそういうことなんですね」と分かって、すごく面白い見え方がしてきます。
頼住先生は、このラフカディオ・ハーンという人が、現代日本においてどのような意味を持っていると思われますか。
頼住 はい。このラフカディオ・ハーンですが、『神国日本』という本は彼の最後の著作ということになります。その中で「日本人というものが、いったいどういう人たちなのか」ということを、「外からの目」で書いてくださっていることが非常に大きいと思います。
日本人だと、自分のことなのでなかなか見えなかったり分からなかったり、あるいは無意識的になってしまったりするような、日本人の宗教性や道徳性、倫理性。そういったものを、外からの視点として非常に具体的に、そして感性豊かに残してくださっていると感じます。
―― 『神国日本』と言うと、現代では響きとして「ん?」と疑問に思って構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。これについては後の講義で詳しく説明しますが、実はハーン自身が原稿の冒頭に「神国」という言葉を記していたということがあります。そのあたりの経緯は、次の講義で詳しく見ていきたいと思います。それにしても、本当に「あの時代の日本人の美しさ」を、よくここまで描いてくれましたね、と感じる本ですね。
頼住 そうですね。本当に「日本人の良さ」というものを、――もちろん、その反面にある「問題性」についても触れているわけですが――、その良さを非常に曇りのない目で見つめて書いてくださっています。
この時代の西洋人の日本観というのは、たとえ日本を非常に好意的に見ていたとしても、やはり「未開な国」だとか「西洋から...
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テンミニッツ・アカデミー編集部