ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
夢魔の重圧?…なぜ「バチあたりの人間」が村八分になるのか
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(3)祖先崇拝の5つの特徴
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
「日本の歴史は、実にその宗教の歴史なのである」――。なぜ天変地異は死者の仕業とされ、村八分などの制約が生まれたのか? 「バチが当たる」という感覚の正体とは? 仏教と神道が奇跡的な調和を保った理由は? お供えをし、祭りに集う、日常の何気ない風景の裏には、二千年の歳月が育んだ「日本の宗教観」が隠されている。善行も悪行もすべては死者の制約下にあるという、はてしない夢魔の重圧のごときものが、いかにして日本特有の「道徳」と「社会」を形作ったのか。ラフカディオ・ハーン自身の美しい文章で探っていく。(全8話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分35秒
収録日:2026年2月20日
追加日:2026年3月24日
≪全文≫

●祖先崇拝の神道の3つの形式…家庭の祭祀、地域社会の祭祀、国家の祭祀


―― では実際に、ハーンがどう見ているのかというところを、文章に当たりながら追っていきたいと思います。まず、幸福や平和をもたらすものとしての宗教という部分でございます。

 《日本の真正の宗教すなわちいまなお全国民からいろいろの形で信仰されている日本の宗教は、すべての文化を誘導する宗教の土台であり、またすべての文化的社会の土台となってきたあの祭祀――すなわち祖先崇拝の祀りである。幾千年という月日の流れていく間に、この最初の原始的な祭祀はいろいろに変化し、いろいろの形をとってきている。しかし日本のどこにあっても、その土台になっている特性は変化しないままである》(『神国日本』19頁)

 と、「変わらないのですよ」ということを言った上で、

 《祖先崇拝の神道の三つの形式は、家庭の祭祀、地域社会の祭祀及び国家の祭祀である》(『神国日本』19頁)

 と、この3つを挙げているわけですね。

頼住 そうですね。祖先祭祀ということを日本人の宗教性の中核に据えて、この『神国日本』という作品の中では日本人の宗教性を追求しているということです。特に祖先祭祀も3つの形式があるということで、まず「家庭の祭祀」は「血縁」ということですね。血縁をまさに結びつけている、いわゆるご先祖様に対する祭祀です。

 それから「地域社会」と言いますともう少し広がりまして、「氏神様」のような、村などの共同体で祭祀されている神様のことです。それは「村を作ってくれた、いちばん大元の神様」というような形で、祖先というような意味でも考えられるということになるかと思います。

―― これはイメージで言うと、本の中でも描かれますけれども、いわゆる村祭りであったり、お祭りをその地域で行なうような場所としての神様だということですね。

頼住 そうですね、はい。そうなります。

 3つ目が国家の祭祀ということで、これは皇室を中心とした天皇を崇拝するということなのですが、当時は日本を1つの家族の国家として見ていくというような考え方が行われていました。そういう意味で言うと、国家祭祀というのも祖先祭祀と重なってくるということなのですが、ただ、この本の中では国家の祭祀についても触れられてはいますけれども、主には家庭と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(5)ロシア正教が果たした役割
「ロシア正教こそが世界の中心」という使命感…ロシア正教の大きな役割と「儀礼改革派」「古儀式派」
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎