茹でガエル日本への処方箋
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「外国人の取締役」か「若き日本人のファーストペンギン」か
第2話へ進む
日本は世界の3つの潮流に、全部遅れている
茹でガエル日本への処方箋(1)「本気」を失っていないか
小林喜光(東京電力ホールディングス株式会社 取締役会長)
小林喜光氏は若き日にイスラエルに留学し、人々が危機感を持ちながら、ひたすら努力を重ねている姿に衝撃を受けたという。現在の日本は、新しいことにトライせず、殻に閉じこもってはいないか。そのために、「デジタル」「個」「グローバリゼーション」という世界の大きな3つの潮流に、すべて乗り遅れてしまっている。(全5話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分45秒
収録日:2019年5月14日
追加日:2019年8月19日
≪全文≫

●危機感をもち努力を重ねているイスラエル


―― イスラエルは緊張感があって、ロケット弾を撃ち込まれる、ああいうところだと、スピード感と時間軸が違いますね。

小林:違いますね。私がイスラエルに行ったのは、1972年7月頃で、1973年の9月頃に出ました。そのとき建国25周年でした。去年が建国70周年でしたので、だいたい46~47年前です。あのとき、まだ建国して25年しか経たないころで、エジプトまで攻めていった。六日間戦争(第三次中東戦争)で、なんとかエジプトには勝ちましたが、毎日、軍服を着て実験をしている人たちが、ものすごくベーシックな基礎研究をしていた。それで私も留学する気になったのです。

 水に電子線やガンマ線を当てて、電子を1つはじくと、双極子で電子が安定したところで青色になったりするのを研究したり、結晶にぶつけて色がつくのを研究したり、そのようなどうでもいい基礎研究をやっていました。そういう博士論文を書いている人もいた。私も、裸のエレクトロン(電子)なり裸のホール(正孔)とアミノ酸の反応速度のデータを、ちょっとした線形加速器を使っていちいち計測するような実験を手伝って、論文を書きました。普通、日本だとせいぜいBulletin (Bulletin of the Chemical Society of Japan) に出すのが精いっぱい。アメリカの『JACS(ジャックス:Journal of the American Chemical Society)』など名の知れたジャーナルに論文を書くのは相当なことですが、私は彼らと仕事をしたので、1年間で3つの論文を書いたほどでした。

 やはりレベルが違うのです。まずもって努力の能力が違うのと、本当の意味で能力がある人が多くて、往生しました。やたら仕事をするのですから。申し訳ありませんが、いまの日本のように「働き方改革」などといっていたら、勝てません。

 やるときは、やる。休むときは、もちろん休む。土日は基本的にシャバット(安息日)ではっきり休みと決まっていますから、金曜の夕方から日曜の朝までは本当に静かにしている。安息日はしっかり取るというメリハリがついていました。

 また、個に目覚めている。自己一人ひとりが強い。日本のようにまとまって、みんなで同じバッジをつけたりするような世界とは違います。

―― 個人が強いですね。

小林:強いと思います。デジタルの時代はまったく「個」の時代です。かつてのように、とにかく効率よく大...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥