海外M&A成功の条件
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
自分は何をすべきか、この会社はどうあるべきかを考え抜く
海外M&A成功の条件(3)不可欠な「情」「理」「伝統」
「何のために、ものを作っているのか」「何のために、われわれはこの会社にいるのか」。それは、M&Aにおいても重要な要素であるという。むしろ、異文化のものを統合するプロセスだからこそ、それをきちんとつめていくことが重要になるのだ。そのためには、ウィットに飛んだ「情」、経理システムなどの制度を確立する「理」、そして「伝統」をうまく伝達する熱意と工夫が重要になるのである。(全5話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:15分52秒
収録日:2019年7月2日
追加日:2019年9月10日
≪全文≫

●買収に必要なシグネチャ・プロセス


神藏 欧米のM&Aは非常に難しくて、特にオペレーションレベルになると日本人が入っていっても、アメリカ人経営者を立てながらやらないと、うまく行きません。任天堂の米国法人も、任天堂(元社長の山内溥さん)の娘婿の荒川實さんがやった会社ではあるけれども、中的にはハワード・リンカーンの会社だという態度をとった。一時期まで任天堂は日本の会社ではなく、アメリカの会社だと全員が思っていました。似たやり方かもしれません。

谷口 確かにそうですね。買収した後で、「ビジネスモデルがまずい」という中で、ハイボールを広めたい、市場を広げたいというとき、ビジネスモデルを変えるために始めたのがサントリー大学だったと思うのです。ケンタッキー州の蒸留所などからビームの人たちを集め、お酒をつくっている人から、サントリーの創業精神みたいなものを学んでもらう。やはりそれをしないと、わからないと思います。ただ「やってみなはれ」と言われただけで、価値観としてきちんと理解していなければ、やれないはずです。そうした歴史やレガシーを理解するところから始めたのです。

 ネスレもM&Aをうまくやってきた企業で、やはり買収したら3カ月以内にスイスのヴヴェイにある本社に呼ぶそうです。そこでネスレの歴史やレガシーみたいなものを伝える。

 それは、ダイナミック・ケイパビリティという話でいえば、シグネチャ・プロセスと呼んでいます。シグネチャ、つまり署名や看板のいう意味です。看板メニューは、シグネチャ・ディッシュといった話になってくるわけで、その企業ならではのものです。

 サントリーなら鳥井さんがいて、佐治さんがいて、という中で生まれてきたカルチャーをわからせる。それを知ったうえで行動させる。だから新浪社長も、佐治会長とマンツーマンで話をする時間を取ることで、まずは業界や会社の歴史を理解したと、そんな話をされていました。それをトップで終わらせず、現場にもきちんと浸透させる。これが大事なのだと思います。

神藏 サントリーの山崎蒸留所の部隊を投入して、ジムビームをハイボールにする飲み方を提唱したり、業務用の営業部隊として、さして英語をしゃべれない人たちを投入したりして店舗営業をさせる。飲食店を回らせる。その様子を見せる。自分たちの持っている強みをどういうかたちでケンタッキーに持...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜