海外M&A成功の条件
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「異種格闘技」戦に打って出る覚悟、決断、戦略
海外M&A成功の条件(2)慧眼、準備、そして猛獣
サントリーは、いきなりビームの大型買収に打って出たのではなかった。実は1980年代から小口、中口のM&Aを行なって、経験と人材を蓄積してきたのである。サントリーがこのビーム買収を「グローバル化のための最後のチケット」と位置付けて、大きな借金を背負う決断ができた背景には、それらの経験の積み重ねがあった。さらに、問題点をあらかじめ洞察し、多文化で育った猛獣を招き入れる決断まで行なったのだ。(全5話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:8分40秒
収録日:2019年7月2日
追加日:2019年9月10日
≪全文≫

●「グローバル化のための最後のチケット」を周到に手に入れる


神藏 (猛獣になりうる能力は)育てて育つものではなく、もともとそういう才能を持っている人が、自分でそれを磨いていく。その過程で戦って勝てば、猛獣に近づくという図式ではないでしょうか。

谷口 そうですね。だから猛獣を育成するのは、非常に難しいのではないでしょうか。異種格闘技みたいなもので、柔道を練習してうまくなって黒帯になるといったレベルの話ではない。ケンカが強い人の中には、ボクシングがうまい人より、もっとケンカが強い人がいるかもしれません。そういうことだと思うのです。

神藏 逆の意味で考えれば、買収するまでサントリーは130年近くやってきて、非常に安泰な会社だったところでですね、普通にのんびり暮らしていた社員たちからすれば、結構「とんでもないことをやってくれた」という感じでしょう。

 しかも当時のマーケットバリューで考えると、おそらく2倍弱ぐらいの金額で買っています。にもかかわらず、それを成功物語に仕立てあげてしまう。その新浪さんという猛獣を、なかなか自分の家に入れないですよね。

谷口 そうですよね。

神藏 嫌ですからね。すでに儲かっていて、うまくいっている企業は、そんな危ないことを普通はしません。彼が入ってきた過程で、ものすごい軋轢(あつれき)があったはずです。その軋轢を一方で抑えながら、一方で(ビームCEOの)マット・シャトックにも立ち向かっていく。相当タフな精神力と知力がないとできないですよね。

谷口 なかなか難しいでしょうね。やはり(サントリーの)佐治信忠会長が新浪社長を連れてこられた慧眼(けいがん)、目利きが素晴らしいと思います。

神藏 しかも、それを押し通すだけの力がある。普通オーナーであっても、なかなか、みんなが嫌がることはやりきれません。佐治さんはビームを買うことによって大借金を背負い、さらにそれを運営するために新浪さんというある種の猛獣、異種を連れてきた。この2つのことを、軋轢があるにもかかわらず、やり抜いた。すごい意志力だと思います。

谷口「オーナーの胆力」ということだと思います。オーナーだからといって、誰でも新浪社長みたいな素晴らしい猛獣を見つけ、連れて来られるわけではありません。サントリーがこのビーム買収を「グローバル化のための最後のチケット」と位置付けていたこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治