海外M&A成功の条件
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「異種格闘技」戦に打って出る覚悟、決断、戦略
第2話へ進む
成功するためには「家畜」ではなく「猛獣」であれ
海外M&A成功の条件(1)サントリーのビーム買収に学ぶ
「M&A」は、「M&Aでいい企業を手に入れたから成功」などということは、けっしてない。むしろ、M&Aをしたあとにこそ、見せ場が訪れる。いかに、買収先企業の価値を高めることができるか、である。だが、日本企業はとりわけ海外企業のM&Aで失敗する事例が多い。高値でつかまされて、安値で売らざるをえなくなるのである。どうすれば成功できるのか。その詳細なヒントを、サントリーのビーム買収の事例から学ぶ(全5話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:10分50秒
収録日:2019年7月2日
追加日:2019年9月10日
≪全文≫

●新浪剛志社長の交渉術


神藏 先生、今日はよろしくお願い致します。

谷口 よろしくお願いします。

神藏 日本の企業がM&Aをすると、先生の調べでは成功率は5%ぐらいしかありません。なかなかうまく行かないですね。これは何によるのでしょう。

谷口 企業買収するにあたってのプロセスがあります。まず識別して、M&Aが本当にいいのかを選択しなければならない。市場で取引してもいいわけですし、あるいはアライアンス(提携・協力)してもいい。それをあえてM&Aするのは、そちらを選択する必要があるからです。

 M&Aをやるにあたり、事前にどんな企業かはもちろん、ほかのライバル企業や同業他社なども見ながら、資源を得るにはどこが一番いいかを識別することが重要です。これはデューディリジェンス(適正評価手続き)の一つですが、同時にその企業の価値を評価することでもあり、それをしっかりバリュエーション(評価)ができるかという問題もあります。交渉するにあたって、事前にこれらのプロセスをきちんとやる必要があります。

 よく日本では「M&A戦略は時間を買う戦略」と言われます。確かに買収先が持つほどの資源を育てるのは非常に難しいでしょう。ただし育成は、その後も続きます。結局のところPMI、つまりポスト・マージャー・インテグレーション(M&A成立後の統合プロセス)がうまく行っていないケースが多いように思います。

 時間を買う戦略として、「M&Aでいい企業を手に入れた。これで終わりだ。うまく行った」というのではなく、それから後がおそらく見せ場であるはずなのに、それがうまくできていない。その後もお金を投資する必要があるのに、できなかったとか。そういうところがあるのかもしれません。

神藏 私がインタビューさせていただいた(サントリーの)新浪剛史社長は「そもそもデューデリ(調査)して、バリューをわかって買おうと思ったら、当然、高く買わざるをえない」といった言い方をされていました。その部分はある程度、仕方ないという感じでしょうか。

谷口 M&Aのときは「勝者の呪い」とか「勝者の災い」といわれる話があり、どうしても高づかみしてしまう傾向があります。日本の企業を見ていても、日本企業を買う場合と海外企業を買う場合を比べると、どうしても海外企業を買う場合のほうがプレミアムを付けがちになります。だから高...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓