●全国の支配人が交流するきっかけとなる「委員会」
―― 今は、手を挙げて、フロントから支配人になる方も出てきているとのことですが、ある意味で一国一城の主である支配人同士が触れ合う機会、横のつながりをつくる機会というのは、どういう形でつくっていらっしゃるのですか?
黒田 支配人会議が、毎月1回あります。全店の数が150店舗ぐらいのときまでは、毎月全国の支配人が1カ所に集まっていました。今は310店舗と増えていますので、海外を除いて12エリアに分けて毎月開催しています。さらに、3カ月に一度は今でも全国の支配人が一同に会する機会をつくっています。
―― 相当な頻度で皆さん、お会いされているのですね。
黒田 これは当社の特徴的な取り組みですが、支配人会議以外にも委員会活動をしています。これは、本社の機能の一部を支配人たちが担う活動になります。本来、本社が決めて指示徹底すべき部分について、支配人同士で徹底できているかどうかをチェック、監査してもらっているのです。具体的には、労務担当の委員会、清掃担当の委員会などがあって、どうしたら効率よくきれいにお掃除できるのかを研究し、全国の支配人たちに伝えていく活動をしています。
委員会には、各エリアから1人ずつ入ることになっています。また、常にエリアで動いていくのと同時に、全国のエリアの人たちが1人ずつ入る委員会があるため、支配人たちが交流する機会はかなり多いと思っています。
―― 委員会は、例えば清掃の方が違う委員会に移ったりとローテーションするのか、それとも、比較的長く同じ委員会に入るのでしょうか?
黒田 まずは1年間、同じ委員会を続けて、だいたい2年か3年ぐらいで次の委員会に移る方が多いですね。
―― いろいろな仕事をやられるなかで、全国のエリアの方々と交流が生まれる。そういう意味では、仕事でもそうですし、会議やミーティングにおいても、いろいろと交流する機会をおつくりになっているということなのですね。
黒田 そうですね。交流する機会にもなりますし、全国、全社的な活動についても支配人たちが関わっていますので、店舗を超えて会社全体に影響を与えるような仕事もしていただいています。
―― 視野を非常に広く持っていただいているということですね。
黒田 そうですね。私の気持ちとしては、会社の成長を、自分の店舗の業績でも支えているし、そういった活動でも支えているという思いを支配人たちに持ってほしいのです。
●男性と女性の役割分担を考える
―― 今の時代、あまり男性とか女性とか言うのもおかしなことですし、個人差もあり一概には言えないのですが、あえてお聞きすると、女性の能力と男性の能力の違いをどうやればうまく生かせるのか、男性中心の組織の場合と女性中心の組織の場合で、どう違うのかについては、どう思われますか?
黒田 私は女子校出身で、男性がたくさんいる職場で働いたこともありませんので正解かどうか分かりませんが、グループ会社の建設会社は男性中心の組織となっています。そこでは、現場の所長が男性で、働く建設部員も男性です。ですから、女性にだけマネジメント能力があるとは決して思っていませんし、男性も現場をしっかりと仕上げてくれています。
ただ、男女の違いを見たときに、男性は新しいものをつくることが好きであり、その能力に長けていて、女性はゼロからつくり上げるよりも、すでにあるものを磨きあげる方が得意ですし、好きなのだろうと思います。男性の場合、磨きあげていく作業は途中で飽きてしまう、つまらなくなってしまうとも感じていますので、そこが能力の違いというか、性格の違いなのかもしれません。
―― 向き不向きがあるということですね。たしかにホテルの仕事は、どんどん磨きあげていかないといけませんね。
黒田 はい。日々、違ったお客様がいらっしゃいますので、新しいことがまったくないわけではありませんが、例えば壁を壊して部屋をつくるとかではなく、あるものをいかにうまく使うか、いかにお客様に喜んでいただけるか、今いるスタッフをどう育てていくかを常に考えていくことになります。
―― どんどん新しいものを建築していく男性中心の職場と、できたものをどう磨き高めていくかを扱う女性中心の職場というように、ある意味では上手に運用されているのですね。
黒田 はい。
●調整役は異性が適任!?
―― もう1つお聞きしたいのは、男性社員もいながら女性が多い組織を運営される場合、人材の配置の仕方、つまり、どういうような役回りをやらせると全体としてのポテンシャルが上がっていくのでしょうか?
黒田 女性のリーダーを出したいと思えば、やはり女性だけの組織にすべきだと思っています。これからの日本は分かりませんが、これまでは、女性は男性に遠慮する...