●女性に必要なのは「ロールモデル」
―― 先ほど、女性をリーダーにするにはなるべく女性が多い、ないしは女性だけの組織がいいというお話がありました。これからは多様性が大事だというなかで、例えば最近は女性で管理職まではやる方も多いのですが、その上の役員になる方が少ないというのが、多くの日本企業の悩みの1つとなっています。この点はどのようにお考えになりますか?
黒田 とても優秀な女性の社員がいて、「ぜひ役員になってほしい」と言っても断られてしまう、というお話はいろいろなところで聞いたことはあります。
一方で、当社の場合は、女性が手を挙げて支配人になりますし、支配人の中でもさらにリーダーになる役目をお願いすると、たいていは「はい、分かりました」と受けてくださいます。やはり女性だけの中では、女性がリーダーになりやすいのではないでしょうか。あとは当社の場合、ロールモデルがいるのも大きいですね。
―― ロールモデルですね。
黒田 はい。だから、一度役員の方が出てきたりしたら、次の方たちがつながってくるのだろうと考えています。
―― 最初の方はロールモデルとしての役割が期待されますので、責任も大きいのですが、それを周りがどうサポートしてやっていくか、そのあたりを工夫していくと、その後はどんどん輩出されていくということですね。
黒田 そのようには思います。
●経験の蓄積と地域密着との相乗効果
―― 東横インはまさに女性の方々が多い職場ですから、ロールモデルという意味で、子育てを全部終えられた方、ある程度年を重ねられた方など幅広くいらっしゃると思います。社長からご覧になって、そういう企業ならではのよさとか、こういうロールモデルの方がいるので助かっていますとか、そういう事例はございますか?
黒田 はい。子どもが小さいときから育てあげて支配人を続けている方は、子育てをしながら仕事もしてきたロールモデルとして、若い支配人たちの参考になります。また、60代後半まで支配人を続けた方で、今は支配人ではなく、非常勤の顧問になってくださった方もいます。そういう方がいるだけで、「あんなふうに年をとっていけるんだな」というロールモデルとして励みになると、支配人たちから聞いたことがあります。
―― それは大きいですね。何歳になったら支配人をおりるという決まりは特にないのですか?
黒田...