「積極的平和主義」とは何か
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
安倍首相が憲法改正に動き出した理由
第2話へ進む
安倍首相が掲げた「積極的平和主義」とは何か?
「積極的平和主義」とは何か(1)世界史と世界情勢
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
「積極的平和主義」とは、どんな意味なのだろう。それを知らずに、「良い・悪い」や「好き・嫌い」を表明しても始まらない。この言葉が生まれた背景を知るには、近現代の世界がたどった歴史と地政学的問題を、「一つながり」で大雑把に捉えておくことが役立つ。(島田塾第115回勉強会 島田晴雄氏講演「安保意識と経済活力を考える~イスラエルとブラジルから学ぶもの~」より:全5話中第1話目)
時間:15分18秒
収録日:2014年7月8日
追加日:2014年9月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●安倍首相は、なぜ「積極的平和主義」を掲げるのか


 「積極的平和主義」について、まず序論から始めたいと思います。

 安倍晋三首相がこのことを懸命に主張しているのはなぜなのか。一部には、非常に軍国主義的なことを言い出したのではないかとの批判がありましたが、全く的外れです。安倍さんの頭の中には、「世界情勢が変わった」ということがあるのです。

 例えば今年(2014年)3月、ロシアがいきなりウクライナのクリミア地方を領土に組み込みました。あれは少なくとも100年、歴史の針を逆戻りさせた暴挙です。というのは、第2次世界大戦後の世界と戦前の世界では大違いであるからです。


●1928年以来、「戦争」は禁止されている


 戦前の世界は帝国主義の時代ですから、戦争をすることが国権の表現として認められていました。しかし、第1次大戦の惨禍を嫌というほど味わった1928年、各国の代表が先覚者として集まり、パリで不戦条約を結びました。

 この条約の前と後では、世界史が変わるはずなのです。これ以前の戦争は国権の発露であり、「たたかれたらたたき返す」「殴っていいのだ」という世界です。しかし不戦条約の後、基本的に戦争は禁止、戦争をすることは犯罪になりました。国家間の戦争という行為は認められなくなり、「侵略」あるいはそれに対する「制裁」しかないと、世界のリーダーたちが確認したはずなのです。

 実際には、その直後に第2次大戦が起きてひどい目に遭いましたが、それを繰り返してはいけない。「あれは全部犯罪行為だ」ということになった。だからこそ、日本やドイツは国際連合で断罪されたのです。国連憲章の中に「敵国条項」があるのは、先の不戦条約に反していたからです。

 このことをわれわれはあまりよく知りませんが、世界史をきちんと勉強している人は、これらを正当に踏まえています。


●プーチン政権による引き金がアジアに連鎖している現状


 ところがウラジーミル・プーチン大統領は、平然とそれを破るという、あり得ない行為に走ったわけです。この先がどうなるのか、とても不透明になりました。

 そのようなシグナルが送られているため、中国が「場合によっては、やれるのではないか」と考えている可能性もあります。尖閣列島も南沙列島も西沙諸島も、隣国への脅威以外の何物でもありません。もちろんロシアほどの暴挙には...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留