●満を持して動き出した安倍首相の憲法改正
安倍内閣は第1次政権のときから憲法改正を志向していました。自主憲法の制定というのは、自民党の結党の党是なのです。終戦直後自民党がつくられたときに、戦後の憲法はアメリカに押し付けられた憲法であるから、自分たちで憲法をつくらなければいけない、というのを党是としました。党是なのですが、いろいろな思想的な状況があって憲法改正ができませんでした。
安倍さんは戦後生まれの首相で、「ぜひ自分の代で憲法改正をやりたい」と言っていました。第1次政権では失敗したわけですけれど。
ただ、第1次政権の途中、2007年に結局安倍さんの努力のおかげで、国民投票法というものが成立しているのです。これは、憲法を改正するときに国民に投票してもらわなければいけない、その手続き法で、これは今、立派にできています。しかし、今の憲法の改定条項には、国会議員の3分の2の賛成を得て、それから国民投票をして過半数の国民の賛成を得ないといけないとあり、これを実現するにはほとんど気が遠くなるような話になるので、それ以降実際には動いていません。
第2次安倍内閣ができてから、安倍さんは「やはり憲法改正をしたい」と訴え始めたのですが、ハードルはものすごく高いのですね。とても意見が集約する可能性が見えなかったですし、むしろそれよりも経済改革に、アベノミクスに専念しろという議論が強かったので、しばらくアベノミクスで頑張るということでやってきました。ですが、やはり本筋では憲法改正をやりたいと言って、だいぶ矮小化しましたが、憲法の解釈を変えようということで動きが出てきたわけです。
●憲法改正の基本認識-日本はもはや独力では守れない
その基本認識は、「日本という国は独力では守れない」ということです。今は核ミサイル時代です。ですから、核弾頭を着けたミサイルを、例えばNHKなど数カ所にぶちこまれたら、日本はもう完全に麻痺します。日本は高等生物のようになっていますから。下等生物なら相当分断されてもOKなのですが。どこもイモ畑だったら、核弾頭などいくら入っても大丈夫ですけれど、これほど高度に練り上がった構築された国ですから、2、3カ所ミサイルでやられたら日本は完全に死にますよね。ロシアやアメリカ、中国のように広くありませんし。中国の場合は、上海がやられたら重慶に、と...