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「Gゼロ」時代で日本はどのように行動すべきか?

「積極的平和主義」とは何か(5)「Gゼロ」時代と日本の安保意識

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
世界は多極化と混迷化の「Gゼロ」時代を迎えた。不安定な世界情勢の中、日本はどのように行動すべきなのか。オバマ政権の対応が及ぼす世界への影響を手すりに、日本が採るべき道を考える。(島田塾第115回勉強会 島田晴雄氏講演「安保意識と経済活力を考える~イスラエルとブラジルから学ぶもの~」より:全5話中第5話目)
時間:12:37
収録日:2014/07/08
追加日:2014/10/12
カテゴリー:
≪全文≫

●世界情勢が変わり、アラブの春から冷冬に戻った中東


 「Gゼロ」ということになって、世界が多極化し、混迷化しました。先ほど世界情勢が変わったと言いましたが、何が起きてきたかというと、中国が台頭してきました。北朝鮮のミサイルも相当正確になってきました。そして、グルジア戦争が起き、アルメニアなど旧ソ連地域が大混乱です。今度、私どもはその隣のアゼルバイジャンに行くのですが、何が起きるか興味津々です。

 「アラブの春」と言われましたが、大混乱となり、結局「春」ではなかったわけです。また「冷冬」に戻りました。中東で今何が起きているかというと、アメリカがサダム・フセインを始末したのはいいのですが、サダム・フセインはスンニ派です。これを始末して傀儡政権をつくったのですが、その首相のマリキさんという人はシーア派の人で、統治が相当苛烈らしいのです。オバマさんが「アメリカは世界の警察官ではない」などと言っているものですから、民族的に少数民族のクルド族とスンニ派が力を増してきて、イラクを今ほとんど分割しそうになっています。

 でも、アメリカは何もしません。オバマさんには、もうそういう気がないのです。付き合いのように「300人を送ります」と言っているのですが、何を送るのかといったらアドバイザーです。国が分割しそうになって、毎日毎日殺し合いをしている中で、アドバイザーを300人送って、何ができるのでしょうか。多分アメリカ大使館を守るということなのでしょう。そんな信じられない行動に今アメリカは出ています。


●アメリカの国内問題に埋没するオバマ氏、TPP会議を欠席


 オバマさんは国内問題に完全に埋没してしまっています。あの人は国民皆医療保険にしたいのです。とにかくギリギリの議会体制のところでやったのですが、中身はボロボロで、もう大批判です。

 それから、財政には天井の制約条項があるものですから、アメリカは時々連邦政府が機能を停止するわけです。これがオバマさんにとっては大変で、そのことに没頭しています。とにかく、弱い者を救わなければいけない、そういうことです。

 あの人は、演説はものすごく上手です。分かりやすい。ただ、友人がつくれないそうです。議会対策もほとんどちゃんとやらない。だから、ボロボロになってしまうのです。

 国際社会の信頼はどうなのかというと、TPPは「絶対...
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