イスラエルの安全保障観に学ぶ
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イスラエルの安全保障の基本は徹底した「先制攻撃」
イスラエルの安全保障観に学ぶ(1)「先制攻撃」の背景にある「ホロコースト」のトラウマ
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
イスラエルの安全保障の基本は「先制攻撃」の一言に尽きる。われわれ日本人からすれば過激にも思えるその方針だが、実はそこにはユダヤ民族が歴史的に経験してきたいくつかのトラウマがある。島田晴雄氏がユダヤ民族の悲劇の歴史をひもとき、「イスラエルの今」を浮き彫りにする。(島田塾第115回勉強会 島田晴雄氏講演「安保意識と経済活力を考える~イスラエルとブラジルから学ぶもの~」より:全4話中第1話目)
時間:14分15秒
収録日:2014年7月8日
追加日:2014年10月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●オシラク原子炉爆撃にみる、イスラエル流先制攻撃


 イスラエルは、先制攻撃が基本なのです。どういうことかというと、1981年の6月7日に突然、イスラエル空軍のジェット戦闘爆撃隊がイラクの上空に飛び、バグダッド郊外で猛烈な爆撃をしたのです。一帯はこっぱみじんになってしまう。同盟国にも、もちろんイラクにも、事前通告などは全くなかったものですから、世界中で「イスラエルは何をやっているのだ?」ということになりました。ところが、噴煙の中から見えてきたのが、地下にあったオシラク原子炉と原子装置なのです。

 この空爆を命令したのはメナヘム・ベギンさんという首相で、大変立派な人なのですが、その彼の主張は、「そら見たことか。サダム・フセインが核兵器製造を手掛けていたではないか。私どもがそれを感知して、先にその根を絶ったのだ」というものでした。これがイスラエル流なのです。すごいですよね。


●イランのレッドライン問題が示したイスラエルの国是・先制攻撃


 もう一つ。今、イスラエルは、イランの問題でオバマさんをものすごく批判的に見ているのです。なぜかというと、イランは核開発をやっていますが、ミサイルはあまり良いものを持っていません。湾岸戦争の時に、スカッドミサイルをイスラエルに散々叩き込んでいたのですが、これはどこへ行くのか分からない、狙うと言っても狙えないようなミサイルだったのです。

 ところが、最近は相当良いミサイルを持ちだしたという情報があるのです。なぜ、そのようなことが分かるのかというと、イスラエルには「モサド」という世界最強の諜報・情報機関があり、これが確認しているのだと思います。

 そのミサイルはほとんど北朝鮮から入手しているはずです。今、北朝鮮のミサイル技術はものすごく向上し、日本列島のいろいろな所をかなり正確に狙えるようになっていますし、アメリカまでも飛ばせます。ということは、イランの当局者がボタンを一つ押せば、イスラエルは壊滅させられてしまうということです。これは、レッドラインなのです。オバマさんもそう言って、「レッドラインを超えるようなことになれば、アメリカは同盟国のイスラエルを救います」ということになっていました。

 そこで、去年の春に、「イランはレッドラインを超えた」という報告を、ナタニエフさんがアメリカ当局にするのですが、オバマさんが「ちょ...

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