イスラエルの安全保障観に学ぶ
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迫害、離散…古代イスラエルからのユダヤ人の悲劇の歴史
イスラエルの安全保障観に学ぶ(2)古代イスラエルの滅亡と「ディアスポラ」
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
ユダヤ人の悲劇の歴史は、実は古代イスラエルに端を発している。ローマ帝国に国を滅ぼされ、1900年に及ぶ流浪の日々を送らねばならなかったユダヤ民族は、生きるために世界中で、さまざまな分野で必死の努力を続けたのだ。ユダヤ民族の苦闘の歴史を島田晴雄氏が語る。(島田塾第115回勉強会 島田晴雄氏講演「安保意識と経済活力を考える~イスラエルとブラジルから学ぶもの~」より:全4話中第2話目)
時間:11分02秒
収録日:2014年7月8日
追加日:2014年11月6日
≪全文≫

●「エクソダス」に始まるユダヤ人の歴史


 皆さん、「エクソダス(出エジプト)」というストーリーを知っていますよね。モーゼが率いてあの紅海を渡り、ユダヤ人がエジプトから脱出する、という話です。あれは、『トーラ(モーゼ五書)』というユダヤ教の聖書に書いてあります。それを、キリスト教者たちが勝手に『旧約聖書』と位置づけたのです。ですから、ユダヤ人はものすごく怒っています。

 なぜ、ユダヤ人の聖書を『旧約聖書』と言い、もう一つ、『新約聖書』をキリスト教徒は持っているかというと、イエス・キリストが生まれた以降は新約聖書、それ以前は神話だから『トーラ』だと言っているのです。「ふざけるな、『トーラ』の方が本当の人類の歴史である」と、ユダヤ人は思っています。その中に「エクソダス」の逸話が出ているのです。

 エジプトから救出されたユダヤ人は、パレスチナに帰ろうと戻ってくるのですが、なんと50年間、砂漠で待ち続けてパレスチナに入らなかったのです。イスラエル人に「なぜ、そんな変なことをしたのか」と聞きましたら、「一回奴隷になった人間は、新しい国をつくる資格はない」という理由でした。ですから、皆、死に絶えて、子どもたちの世代になってパレスチナに入ってくるのです。


●ダビデ、ソロモン、ヘロデ―ユダヤが誇る大王たち


 今は神話のようになっていますけれど、そのときにダビデ王が巨人ゴリアテをやっつけたという逸話があります。日本で言えば『古事記』のようなものです。このダビデ王は武力の王者としてずっと君臨していましたが、「殺戮(さつりく)者である」という理由で神殿を建てる資格がなかったのだそうです。しかし、彼の息子のソロモン大王は、手が血で汚れていないので、素晴らしい第一神殿をエルサレムのど真ん中につくるのです。

 ところが、それからほどなく、バビロンという強国により、ユダヤ人はまた全員奴隷になってしまいます。バビロンに連れていかれ、何十年かして再びエルサレムに戻ってくる。そのときにヘロデ王を頂くのですが、このヘロデ王が第二神殿をつくります。ここは現在、一部、現物が残っています。


●ローマ帝国と同等の力を誇ったユダヤの栄華の時代


 ヘロデ王は、第二神殿をエルサレムの小高い丘陵地につくりました。それは非常に大きなもので、丘陵地を埋め立てているというか、土盛りをして平地をつくっ...

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