イスラエルの安全保障観に学ぶ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イスラエルが原子炉を持った理由と核兵器保有の真相
イスラエルの安全保障観に学ぶ(4)存続への闘い
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
4回にわたりイスラエルの歴史を見てきたが、現在のイスラエルの姿は決してバラ色とは言えない。何よりもパレスチナ難民問題をめぐる紛争は、21世紀の国際的課題として筆頭に挙げられる。市街には壁がつくられ、ミサイル攻撃も日常的だ。積極的平和に向かう日本は、イスラエルを通して何を学ぶべきなのか。(島田塾第115回勉強会 島田晴雄氏講演「安保意識と経済活力を考える~イスラエルとブラジルから学ぶもの~」より:全4話中第4話目)
時間:16分19秒
収録日:2014年7月8日
追加日:2014年11月25日
≪全文≫

●ベン=グリオンの独立宣言と第一次中東戦争


 1948年5月14日、ダヴィド・ベン=グリオンはテルアビブの博物館で、ヘルツルの肖像を前に独立宣言をします。イスラエルはユダヤ教の国家であると同時に、世界の中の民主国家であることを宣言するのです。

 ところが、この宣言の数日後には、アラブの国々が寄ってたかってイスラエルを攻撃してきます。エジプト、ヨルダン、シリア、レバノン、イラクの連合軍2万3千人が、わずか数日後に結成されているのです。

 イスラエル側は皆、素人ですが、ただ士気だけは軒昂でした。ハガナ軍3万5千人、イルグン軍3千人などの民兵組織に加え、武装入植者数千人が懸命に戦ったのです。彼らのうちの6千人が亡くなりますが、何とか頑張って1949年には停戦に持ち込む。この時には、国連が決めた土地より20パーセント広い領土を獲得しています。

 その後イスラエルは、民兵軍を全て正規軍にして徹底的に訓練し、指揮命令系統を整備して、軍事力を充実させていきます。ユダヤ人の人口はどんどん流入して、独立当初60万人だった人口が数年後には140万人になります。ちなみに、現在は700万人です。


●パレスチナ難民問題の発生と今も続くナショナル・リスク


 ここからパレスチナの難民問題が発生します。パレスチナ人の住んでいた場所に新しい国をつくってしまったのが原因です。前回お話ししたディルヤスーン村のような虐殺はしませんが、追放することには変わりがない。パレスチナの農民はひどい目に遭い、下層民が流出していきます。

 最近、イスラエルを訪ねると、土地を奪われて難民キャンプにいるパレスチナの人たちがいろいろな形で入ってきます。普通の奥さんかと思ったら爆弾を持っていて、スーパーマーケットを爆破したりするのです。そのようなテロを防ぐため、イスラエルでは南北数百キロメートルにわたって、高さ20メートルの容易には越えられないコンクリートの壁がつくられています。全土につくる必要があるのかどうかはよく分かりませんが、壁を越えていい車と越えられない車では、ナンバープレートの色も違います。

 そこまでして防いでいますが、イスラエルでは今でも北と南から、1日に何十発ものミサイルが撃ち込まれています。しかも、市街では年中爆破事件があります。

 そのようなイスラエルへ、私は島田村塾の若い塾生...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ
忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論
一ノ瀬正樹
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫