「怒り」の仕組みと感情のコントロール
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
セルフコントロール能力は訓練によって鍛えることができる
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(4)自制心を鍛える
川合伸幸(名古屋大学大学院情報学研究科教授)
怒りを鎮めるための抑制機能の働きと関連して注目されているのが「セルフコントロール」だ。これは「自制心」とも言い換えることができるが、将来のより大きな成果のために自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力のことで、幼少期におけるその能力によって大学入試の成績やその後の収入にも関連することが分かっている。ではどうすればそれを鍛えることができるのか。また、そもそも怒りの発生を抑えるためにはどんな方法が効果的なのか。(全5話中第4話)
時間:10分20秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年3月17日
≪全文≫

●幼少期のセルフコントロール能力によって大学入試の成績が予測できる


 今回は、怒りを抑えるその他の方法について説明します。

 怒りを鎮めるのは、抑制機能の働きです。抑制機能と関連して注目されているのが、「セルフコントロール」です。セルフコントロールとは、将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力を指します。「自制心」といい換えることもできるでしょう。

 例えば、腹が立ったときに、相手を罵倒すれば気が済むかもしれません。しかし、そのために相手との関係まで失ってしまうと、大きな損失になることがあります。生活の中では、目先の利益にとらわれず、長期的な利害を考えて行動する必要があります。そのような長期的な利得の計算をするからこそ、理不尽な態度や言葉に腹を立てても我慢するのです。

 この、長期的な利益のために我慢するというセルフコントロールの能力は個人によって異なります。日本ではほとんど注目されていませんが、米国ではセルフコントロールが、非常に重視されています。なぜなら、およそ50年にもおよぶ研究の成果によって、幼少期のセルフコントロール能力によって大学入試の成績が予測できると分かったからです。

 子どものセルフコントロール能力は、「マシュマロテスト」と呼ばれる方法で測定されます。まず、実験者以外には机とイスしか置いていない部屋に、子どもがひとりで入ります。机にはマシュマロが一つ乗ったお皿が置いてあります。実験者は、つぎのようにいって部屋を出て、子どもを一人にします。

 「ちょっと用事があるので、出かけます。そのマシュマロを食べても良いですが、15分間、食べるのを我慢できれば、もう一つマシュマロをあげます。わたしがいないあいだに食べてしまった場合には、二つめはありません」。その後、実験者が部屋を出た後の子どもの行動を観察します。何もすることのない部屋で、お菓子を目の前にして一人で待つのは非常に難しいのです。子どもは我慢するために、さまざまなことをして気を紛らわせます。しかし、4、5歳の子どもであれば、最後まで食べないで我慢できるのは全体の3分の1ほどです。我慢できずに食べてしまった残りの子どもは、マシュマロを食べるまでの時間がこのテストの指標とされます。

 最初の追跡調査は、15年後に行われました。その結果、就学前の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(1)アフォーダンスとは何か-1
トップアスリートが語る究極の「アフォーダンス」とは
佐々木正人
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
新撰組と幕末日本の「真実」(6)新撰組結成と清河八郎、芹沢鴨
清河八郎と芹沢鴨…乱闘事件や大和屋焼討事件の真相とは?
堀口茉純
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
ドンロー・ドクトリンの台頭(3)脱地政学論と日本への影響
ドンロー・ドクトリンの正体は脱地政学論…日本の進む道は
東秀敏
変化する日本株式市場とPEファンド(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
百瀬裕規