豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
兄・秀吉の分身としての役割を果たした秀長の存在
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(2)弟・秀長の役割
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
人たらしの才覚とアイデアが光る秀吉の3歳下だった秀長は、家臣団の中でどんな役割を果たしたのだろう。織田軍の中で頭角を表そうとする兄・秀吉をトップに置く集団で、その論功行賞などの人事面に目配りし、組織固めを図るのが弟・秀長だった。さらに軍事面でも、二人の兄弟は見事なすみ分けを見せる。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分46秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年4月11日
≪全文≫

●秀吉軍団の束ね役となった弟・秀長


―― アイデアマンであり人たらしである秀吉が、自分がだんだん出世するに従って秀吉軍団というものを形成していくようになるわけですね。その秀吉がトップにいる軍団で、チームを束ねたのはおそらく弟の秀長だと思うのですが、どういう役割分担をしていたのでしょうか。

小和田 秀長は途中から秀吉の家臣に入ってきます。

―― これは、いつぐらいのことですか。

小和田 これがよく分からないのです。ただ、秀吉がある程度出世して、家臣が必要になってきた時期でしょう。それまで弟の秀長は、尾張で農業経営すなわちお百姓仕事をしていた。それを引き上げて、家臣になる。その時点では家臣団の数はたぶんそれほど多くないから、別に束ねるというほどではなかった。でも、家臣の数がだんだん100人、200人と増えるにつれて、自分の分身である弟・秀長にそれを束ねさせるような役割分担をしていったのではないかと思います。

―― 秀長は秀吉の弟ということですけれども、父親の違う弟という説もあれば、父親も母親も一緒の実の弟という、両方の説があります。小和田先生は実の弟であろうという見方をされていますね。

小和田 それは私が秀長のことをいろいろ調べていて分かったことです。彼の生まれは天文9(1540)年で、父親の弥右衛門が亡くなるのが天文12(1543)年です。お母さんの「なか」が浮気をして、別な男との間にできたということなら別ですが、夫が生きているときにそれはないと思います。そうすると当然、父親は弥右衛門で、実母、実父、実の兄弟という捉え方のほうが正解ではないかと思っています。

―― そうすると、秀吉は天文6(1537)年生まれでしたね。

小和田 天文6(1537)年生まれだから、秀長は3つ下ですね。

―― 3つ下で、しかも実の弟ということになると、小さい頃から比較的分け隔てなく、一緒に遊んだりした。

小和田 ええ。3つ差の兄弟というのは、もう同じように遊んでいますからね。

―― そういう人物が自分の家臣団の中にいると信頼できるというところも含めて、大きいことですね。


●上を見る秀吉、周りを見る秀長の組み合わせ


小和田 秀長の名前が最初に史料に出てくるのは天正元(1573)年から天正2(74)年で、ちょうど秀吉が長浜城主になった頃です。自分は長浜城を、自分の城として一生懸命造りたい。だけど、ちょうど...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫