豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
豊臣秀吉が暴君になるほど影響が大きかった弟・秀長の死
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(3)組織のバランスが崩れる日
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
豊臣政権を一台の自動車に例えると、運転席でハンドルを握り、アクセルを踏み込むのは豊臣秀吉だが、隣の助手席にはいつもブレーキ役兼ナビゲーターとして弟・豊臣秀長がいた。そのチェック役がいなくなった政権はコントロールを失い、暴走していってしまうのである。(全5話中第3話)
インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分07秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年4月18日
≪全文≫

●軍師と補佐役の機能的すみ分け


―― 前回、軍師の役割として黒田官兵衛のお話が出ましたが、その前には竹中半兵衛という軍師がいました。機能的に分けていくと、それぞれどんな機能で回っていたのでしょう。軍師役という存在がいて、補佐役として秀長がいるのであれば、どのあたりを主に秀長が見ていたのか。彼らの違いについては、どうご覧になりますか。

小和田 これは、やはり時代によって違うと思うのですね。「豊臣政権」という形で、ある程度全国政権的なものに近づいた時点では、戦いのほうはむしろ黒田官兵衛たち軍師クラスに作戦立案をさせ、秀長は内政面、つまりその後の領内経営のトップにいるような形でした。

 これも有名な話で『大友文書』に入っているのですが、大友宗麟が秀吉のもとにある依頼をしにやってきた時、「内々のことは千利休に相談しろ。政治向きのことに関しては俺(秀長)に相談しろ」といった言い方をしていたということです。そういった意味では、もう完全に秀吉の分身のような形で、秀吉の意を体していろいろ動いていたのが分かりますね。

―― そうすると、人事面を見ていたということもありましたけれども、対外的な部分でも、どう評価するかとか、どういう褒美なりを渡すかということに関しても、ある程度は秀長が管理をしていたということですか。

小和田 そうでしょうね。ただ、そのへんはあまり資料としては残っていません。「知行充行(ちぎょうあてがい)」などは、一応全部秀吉の名前で出るのです。ただ、秀吉ひとりで考えていたわけではなく、弟・秀長との相談の上で、この武将にはここで一国あげようという下相談は当然していたでしょう。しかし、表向きの歴史に残る資料としては秀吉の名前で出ますので、今までは全部秀吉がやったと思われてきた側面があります。

―― 例えば『大友文書』の中で千利休〈宗易〉の話が出てまいりましたが、彼はどういう役割を果たしていたのですか。

小和田 彼は、単なるお茶道を教えるお茶の先生ではなくて、内政顧問のような存在でした。要するに、お茶を通して利休も相当な人脈を持っているわけですよね。秀吉家臣団のなかをうまく回すような役割を、お茶を通して行っていた。だから、大友宗麟なども、ちょっと困ったことがあると利休に相談しなさいよ、といった言われ方をした。そういう側面があるのではないかと思います。


●...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(5)東洋的リーダーシップ
『貞観政要』が人気…日本の経営幹部研修で好まれる理由
三谷宏治
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸