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アベノミクス第一の矢「金融緩和政策」の意味とは

アベノミクスの成果とリスク(1)第一の矢:金融緩和の効果とリスク

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
概要・テキスト
出典:首相官邸ホームページ
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/yawaraka_seichosenryaku.pdf)より加工して掲載
安倍政権発足から1年。アベノミクス第一の矢・金融緩和政策の意味とは。黒田日銀総裁の異次元的な金融緩和宣言に反応した市場。今後の動向と合わせてリスクにも迫っていく。(島田塾第109回勉強会 島田晴雄氏講演『日本経済は果たして、どこまで成長出来るのか』より:全14話中1話)
時間:09:37
収録日:2014/01/14
追加日:2014/02/24
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今日のタイトルは「日本経済は果たして、どこまで成長出来るのか」つまり、果たして成長できるのかも含めて、成長するとそればどこまで、ということですね、お話をしたいと思います。これで多分、日本がこの一年でどうなっていたのか、今どういう状況にあるのか、今後一年どういう展開になるのか、かなり詳しくお分かりになると思います。


●安倍政権のもうひとつのリスクは“ナショナリズム”への傾斜


 安倍政権が出来て1年強経ちましたけど、日本の空気は相当変わったと思いますね。アベノミクスは一定の大変な成果を上げました。しかし、今日もお話しますが、かなり大きなリスクも伏在しているのですね。

 安倍さんは今、世界で最も大きなポリティカルキャピタルを持った指導者だと言われています。それは3年間選挙のない政治をやっていいというのは、自分で獲得したものですけども、世界で今ありません。

 だから大変素晴らしい状況なのですね。この前、靖国参拝されたので、これは安倍さんの個人の悲願ですから仕方ないのですが、なんでこのタイミングでああいうことするのかなと少し思ってはいます。多くの方がそう思っています。ちょっと残念だな。もっと重要なことにこのポリティカルキャピタルを使われたら良いかなと思いますね。

 経済に相当大きなリスクがありますけども、リスクを吸収する最善の策は経済成長です。ただ今日本では、「日本は今人口が減っているから経済成長は無理なんだよね」、という諦めみたいなものが世の中にありますけども。

 今日は、果たしてそうだろうかという問題に突っ込んでみようかと思います。そしてその本当の成長を高齢・人口縮小社会で実現する課題は何なのかということを皆さんと一緒に考えてみたい。ここがメインだと思います。


●超金融緩和の意味


 まずこのアベノミクスの成果とリスクということで、少し復習をしてみたいと思います。アベノミクスって言うのは3つの矢がありましたね。一つは金融緩和ですが、これはどういう意味か。リーマンショックの時に世界中が大不況になって、民間部門が弱り、政府が相当財政支出をしないといけないということで、どこの国でもやったわけですね。その結果、とんでもない赤字を各国抱えることになって、財政のレバーが効かない。じゃあ金融だと。金融というのは普通、刺激をするには金利を下げるんですけど、金利がほとんどゼロ...
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