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日本の核であった「家」制度を、どうすれば復活できるか

「葉隠武士道」を生きる(9)「家」を滅ぼしたGHQ

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
古来、日本人にとって「家」は非常に重要なものであった。だが、そのことを、現代日本人にどうすれば伝えることができるのか。これは、きわめて難しい。まず、ここで言う「家」は今の「家庭」のあり方とは違う。むしろ小さい企業のあり方のほうが、昔の家制度や大家族主義に近いといえよう。だが、その大家族主義は、どんどん理解されなくなっている。なぜそうなったかといえば、第2次世界大戦に敗北した後、日本を占領した連合国が、日本の忠孝を破壊することを目論んだからだ。ドイツの場合は、ナチスという1政党が否定されたわけだが、日本の場合は国家そのものが否定された。だが、唯々諾々とそれに従ったのは日本人自身であった。日本人は、武士道を捨てて「得」を取ったとも言える。(全12話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13:05
収録日:2021/04/08
追加日:2021/09/03
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≪全文≫

●すべての家が天皇に、日本の古代にまで結び付いていた


―― 冒頭の武士道の話であったように、武士道で大切なのが「家」ということですね。

執行 家が根本です。家制度がなければ、武士道はできません。家制度と結びついているから武士道で、家制度と結びつかないと、どうしても「人殺しの思想」など悪いイメージのほうに行ってしまいます。そうではなく、武士道は日本の大家族主義をどうやって守るかから生まれてきた思想なのです。

 武士階級がそれを独占したようにとられていますが、そうではありません。日本人の中枢の考え方です。「何かのために戦って死ぬ」という考え方です。だから「戦いの思想」とも、また違うのです。

―― ただ、特に今の人に「家が大事」と言ったときに、なかなかイメージが湧かないように思います。これをどう伝えたらよろしいですか。

執行 これは難しい(笑)。日本の歴史や日本の優れた人、それと結びつくしかないでしょう。もう「家」といっても、今はほとんどないので。私が言ってる家は「ホーム」「家庭」ではなく、「大家族主義」ですから。

―― 歴史を通して脈々と……。

執行 大家族主義と言って、今で言えば仕事の集団みたいなもので、それが血縁で来ているものです。どちらかというと、小さい企業のあり方のほうが、昔の大家族主義に近いです。みんなで何かを一緒にやる。それがたまたま昔は、今と社会が違うので、その家に生まれてきた子供たちが継いでいくという、そういう考え方です。

―― 昔であれば、農家であれば農業。先祖代々の田畑があって。

執行 それをどうやって、みんなで一緒に効率的にやっていくか。武士の家は武士道。だから今の小さい企業体のあり方のほうが近いです。今は家族的にはなくなってしまった。かえって家庭が、みんなで協同してやる企業体を崩す力になっている。逆に「家庭か、企業か」のように迫られる。家庭が物の道理を教え込む場所ではなくなり、甘やかすだけの場所になっています。

―― 昔は当然、いろいろな人間関係のなかで、田畑を維持するにあたっても、水利権など……。

執行 もちろんそこに戦いがありました。

―― 地主さんであれば、小作人とどのように付き合うか。小作人であれば、どうやって地主とやっていくか。自ずとそういう関係性の中で動いてきたものがあったわけですね。それが今のような社会になって……。...
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