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「悩むべき悩み」と「悩まなくてもいい悩み」とは何か

「葉隠武士道」を生きる(5)人生は悩んでいるのが正常

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
「相手を選ぶことが大事」なのは、人間関係だけではない。いいものに触れる、いい絵に触れる、いい芸術に触れる、いい書物に触れる、などは人生の基本の中の基本である。ときに、自分が信じるものを近しい人に否定されることもある。だが、それも含めて自己責任である。武士道的な生き方を貫徹したいなら、そんなことを言わせない生き方をすることが大事である。また、今の人は「悩むべき悩み」と「悩まなくてもいい悩み」の違いも分かっていない人が多い。そして「悩むべき悩み」について言えば、人生は悩んでいるのが正常なのだ。(全12話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:58
収録日:2021/04/08
追加日:2021/08/06
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≪全文≫

●「あんたが、そういう人なんだろうよ」と自分を客観的に見られるか


執行 (相手を選ぶことが大事なのは)友達だけではありません。たとえばいいもの、いい絵に触れる、いい芸術に触れる、いい書物に触れる、いい人と付き合う。これらは人生の基本の中の基本の中の基本の中の基本です。それを差別だというのだから、人類はどうかしてしまったのです。

―― やはり自分にとって大事なもの、自分を高めてくれるものが大切。ただそこが難しいところで、運命を受け入れることと相手を選ぶこと、どこまでが運命で……。

執行 「運命」と「相手を選ぶこと」は違います。相手を選ぶのは日常茶飯事の出来事で、自分の知能で選べばいい。運命とは、どんどん来る宇宙的時間であり、宇宙の作用というか、また別の問題です。その人を選んだ結果、不幸になったとしたら、それは運命です。だから、それは諦める。

―― 自分が1回選んでしまった場合は……。

執行 ただし選ぶときは、まずは知能を使って、いい人を選ばなければダメです。友達でも。選んだけれども、付き合っているうちに、2人で遊びに行って事故に遭ったり、不幸なことが起こったとしたら、それは運命という見方です。

―― あるいは、自分が選んだ相手が、どうも1回尽くしてあげたら、貪るようになったとしたら……。

執行 すぐに切らなければいけない。

―― それは逆に、自分の責任で、付き合ってしまった自分が悪いということですね。

執行 付き合った場合は自分が悪いし、付き合いを続けたなら、必ず自分の中に、付き合いを延ばしただけの卑しさがあります。わからない場合、私の身近な人なら、その卑しさの部分を教えてあげます。要は、必ずあります。

―― 自分自身の卑しさがあったからこそ、つけ込まれる隙を作ってしまったということでしょうか。

執行 それもあります。たとえば私が武士道の話をすると、「いや、執行さんの言うことはよくわかるけど、そんなことを言ったら家族がついてこない」と言う人がいます。会社でも「上司が……」とか。しかし、それはその人だから、そう言われるのです。

 私は、そのようなことを言われたことがありません。もちろん、言ったら終わりになってしまいますけれども。私はどんなに愛する人でも、どんなに親しい人でも、私の生き方がダメなら、運命上は全然ダメです。付き合うこともできないし、すべて関係も...
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